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2021

12/14

【高校サッカー展望・静岡】新テクニック集団・静岡学園 サッカー王国の代表は逞しさも併せ持つ

第100回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。静岡県代表の静岡学園は1回戦、29日に徳島県代表・徳島商業と対戦します。県大会決勝戦の模様を振り返り、全国での戦いを展望します。

■静岡学園(2年ぶり13回目)

「サッカー王国」と言われてきた静岡の決勝戦。100回大会の節目で、時代をけん引してきた伝統校同士がぶつかりました。

全国選手権優勝2回。一昨年度の優勝も記憶に新しく、静岡勢としては、最もいま全国で結果を残している静岡学園。

そして、全国選手権優勝4回。1960年代から70年代にかけて圧倒的な強さを誇り、名門校の一つである藤枝東の対戦となりました。

静岡学園は、井田勝通総監督が持ち込んだ南米スタイル、テクニック主体のサッカーが最大の特徴。藤枝東は、かつて黄金期を築いた長池実元監督が根付かせた、観る者を魅了するパスサッカーが原点です。

テクニックの静岡学園か、パスサッカーの藤枝東か。その哲学を引き継ぐ両校のOB監督がタクトを振るいました。

序盤、チャンスを作ったのは、夏のインターハイ全国ベスト4。静岡県内の高校には負けなしの静岡学園でした。中盤であっという間に数的優位を作ってボールを奪い、ドリブルで相手を押し込みます。

試合前、「中盤勝負」とにらんでいた静岡学園の川口修監督。試合のほとんどを相手コートで進めます。対する藤枝東の小林公平監督。「全体が受けてしまっているな」と感じつつ、一瞬の好機を狙います。

しかし、静岡学園の素早いボール奪取力が光り、藤枝東の重心が重たくなります。前半を終えて、0対0。ハーフタイム、両監督が手ごたえを感じていたのは守備でした。あとはチャンスを決められるかどうか。ただ、その作戦が異なりました。

静岡学園は「個の力で勝負」。藤枝東は奪った後の「パスの質で勝負」と言い選手を送り出しました。

そして、一瞬で勝負は分かれます。後半7分。静岡学園のコーナーキック。DF伊東進之輔選手が打点の高いヘディングを決め、先制します。189cm。空中に一人浮いているような圧倒的な高さ。「個の力を伸ばす」。その指導哲学が決勝戦で実を結びました。

その後、藤枝東はカウンターやロングボールに活路を見いだそうとしますが、放ったシュートはわずか1本。攻撃の起点はほぼ、静岡学園の素早い守備が封じていました。伝統のテクニックに、守備の厳しさを加え、進化した静岡学園が圧倒します。

後半37分には、エース・MF古川陽介選手がダメ押しゴール。2対0で伝統校対決を制し、13回目の全国選手権出場を決めました。試合終了直後、足がつり、敗れた相手以上に苦しそうな表情を浮かべる静岡学園の選手の姿がありました。

川口監督は「選手たちはサッカー人生で一番走ったと思います」と、中盤勝負を制すため一瞬も気持ちを切らさず走り切った選手を称えました。

テクニックだけじゃない、逞しさも身につけた静岡学園が「王国」の頂点に立ちました。

(取材・文 高校サッカー選手権民放43社/静岡第一テレビ)
 

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