STORY

10「それぞれの決断」
2024.03.13 OA

「私はキミの姉…桜庭唯を殺した」――シムネスに侵された火神ひがみ(古田新太)は、みお(川栄李奈)の姉・ゆい(成海璃子)を殺したことを認めた直後、息を引き取った…。

数日後、星嶺医大はかつてない混乱に包まれていた。親の許可を得ないまま小夜子さよこ(永瀬ゆずな)の手術をした日本屈指の天才外科医・大河たいが(高杉真宙)の違法な医療行為が明るみとなり、大勢の報道陣が詰めかけたのだ。情報を流した猿田さるた(小手伸也)は「こんな騒ぎになるとは…」と予想外の反響に動揺して…。

火神が亡くなって以降、仕事を休み続けている澪の部屋に、たちばな(上杉柊平)が訪ねて来る。全ての事情を知った橘は、火神の罪を公表しないという澪の意志を尊重し、「俺も次へ進む…唯もそれを望んでいるだろうから…」と、唯のノートPCを澪に返す。
一方の大河は、処分が決まるまでの間、病院から自宅待機を命じられる。「俺は俺でやることをやる」と前向きにとらえる大河は、火神の夢を引き継いでオームス開発の続行を決意。しかし、火神がいなくなったことで星嶺医大の反火神派が活気づき、オームス開発は中止の危機に追いやられてしまう…。もはや統合外科は空中分解寸前。そんな中、澪は悩んだ末…「星嶺医大を辞めようと思っています」――。

澪の決断…大河の運命…そしてオームス開発の行方は…!?
最後に“裏の裏”が待ち受ける、衝撃の最終回!!

以下、ネタバレを含みます。

ふさぎ込んでしまった澪を心配する大河は、晴美はるみ(水野美紀)、夏芽なつめ(吉住)、相馬そうま(矢本悠馬)の3人に、澪を元気づけてほしいと頼み込む。このまま放っておいたら澪は医療の世界から離れてしまうかもしれない…「あいつはこの先、多くの人間の命を救う可能性を秘めた外科医なんだ」。
大河にそこまで言わせる腕があるのにもったいない…晴美と相馬は病院を辞めようとする澪を引き留めるが、夏芽だけは、無理せず澪の好きにすればいいと言う。「人に寄り添うのもいいけど、たまには自分の気持ちにも寄り添ってみれば?」「澪が選んだなら私はなんだって応援するよ」とキャラじゃないことを言う夏芽。「私はあなたに感謝しているの」。監視したり部屋に盗みに入ったりしたのに許してくれたこと…ナースエイドを続けさせてくれたこと…。夏芽に続き、晴美も相馬も「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える。澪も、「みんながいたからナースエイドの素晴らしさを知ることができました。私は3人が大好きです」――。

「たまには外でパーッとしよう」。夏芽の提案で、ナースエイド一同はキャンプに出掛ける。謹慎中の大河と小夜子も参加して、みんなでバーベキューの準備を始めるが、途中で小夜子がいなくなってしまう。澪と大河は小夜子を探しに雑木林の中へ…。すると、早苗さなえ(小野ゆり子)と一緒にいる小夜子を発見。「ママと一緒に死のう」…男に捨てられて自暴自棄になった早苗は、小夜子と心中するつもりなのだ。澪と大河が2人を追いかけると、早苗はバランスを崩し、小夜子と一緒に傾斜を転げ落ちてしまう――。

転げ落ちた小夜子は、背中から刺さった枝が肝臓を貫き、腹部から出血。一方の早苗も腹腔内に出血の可能性があり、危険な状態。澪と大河は2人をキャンプ場に運び、ナースエイドのみんなと一緒に近くの病院に駆け込む。しかし、手術ができる医師がいない…。大河だけでは2人同時の手術は無理だ。「おまえも執刀するんだ」…大河は澪に早苗の手術をしろと命じる。「おまえがやらなければ、患者は助からないんだ!」。しかし、澪の手は震え、動悸が激しくなる…。そんな澪の肩に、夏芽が手を置く。「だから、無理すんなって言ってるでしょう。…大河先生、私たちにできることがあったら何でも言ってください!」。ナースエイドに医療行為が許されていないことぐらい分かっている…でも今はそんなことを言っている場合ではない。「私たちだって患者の命を救いたいんです!」。夏芽の想いに晴美も相馬も同意。みんなの気持ちを受け止めた大河が澪を説得する…「おまえはナースエイドとして患者に寄り添うことで、どの医者よりも患者を救いたいという強い想いを手に入れたんだ。PTSDに打ち勝つんだ!」。澪の脳裏に浮かぶのは、今まで寄り添い救ってきた患者たち…そして、手の震えが止まる。「桜庭澪…俺と一緒に、この2人の命を救おう」「…はい、準備します」――。澪と大河はメスを執り、ナースエイドたちはそれを懸命にサポートする。
澪たちの懸命な治療によって小夜子と早苗は一命を取り留めた。回復した小夜子が早苗に声をかける、「早く元気になって。今度はママとバーベキューしたい」。その言葉に動揺する早苗。自分は娘を殺そうとした…母である資格なんてない…「もう私のことは忘れなさい」。しかし小夜子は「私はママを許してあげるよ。だからずっとママでいて」――。小夜子は再び『羽ばたき園』に戻ることになったが、小夜子が将来早苗の犯したことを本当に理解し、それでも許そうと思ったなら、また一緒に暮らせる日がくるかもしれない…。大河は澪に言う…「許すとは、前に進むことだ」――。

そんな中、ネットに『故火神郁男の偉大なる業績・癌から人類を救う火神細胞の産みの親』という見出しがおどり、澪は驚く。記者名は、「桜庭唯」。唯が生前に書いて世間に出されずにいた記事を、火神が亡くなったことを知った東都新聞社が掲載したのだった。唯の上司の話では、唯は火神をとても尊敬していたという…。唯は火神のことを恨んでいたのではなく、父・晃の夢をカタチにしてくれたと感謝していたのだ…。それを知った澪は、ようやく吹っ切れる。「火神教授がやったことはまだ許せないけど、その研究に罪はない。いつか許す時のために、今は前に進みます」――。

星嶺医大の上層部による会議の結果、医療行為を行ったナースエイドたちはおとがめなしとなった。大河が1人で全責任をかぶって病院を辞めると言って、3人を見逃してもらったのだ。病院を去る大河の前に、猿田が顔を見せる。こうなったのは、自分が原因…気まずそうな猿田に、大河は「あなたは執念深く、常に周囲を観察している。外科医として真剣に手術に向き合えば、優秀な医者になれますよ」と言葉を贈る。猿田は一念発起。「俺は…医学に向き合う!」と、悪い付き合いを断ち切った。

大河先生が病院を辞めた!?澪は慌てて寮に戻り、「なんで辞めたんですか?」と大河に詰め寄る。「あの病院でやることがなくなったからだ」と大河。もともと火神からオームス適応候補者として呼ばれただけで、それ以上の候補者である澪がいる今、星嶺にいる意味はない。オームス開発は玲香れいか(瀧本美織)と澪に任せ、自分はまた海外に戻ると言う。澪は「私は…外科医に戻りオームスオペレーターをやります。…でもナースエイドは辞めません、ナースエイドを続けながら…それもやります!」そう宣言すると、大河に深々と頭を下げる。「先生がいたから…私…いろいろ乗り越えられたと思います」。すると大河は…「俺も同じだ。患者に寄り添う大切さを…教えてもらった…ありがとう」。やけに素直な大河がおかしくて笑ってしまう澪。「本当に海外行くんですか?…私が嫌だと言ってもですか?」「何でおまえに嫌だと言われてやめなきゃいけないんだ」…この期に及んでいつものようにやり合ってしまう2人…。

大河が海外に渡った後、澪は宣言通りナースエイドを続けながら、玲香と一緒にオームスのトレーニングを重ねていた。トレーニングはすでに第2段階。これがクリアできれば、いよいよ臨床試験に入る。シムネス完治へ向けて、また一歩前進だ。しかし――。

――半年前。唯は命を落とす直前、火神に“ある疑問”を投げかけていた…。「教えてください、父はなぜ火神細胞を公表しなかったんですか?…もしかして…シムネスは火神細胞が…」。

澪は強い決意とともに、オームストレーニングルームで研鑽を積み続ける。