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作品紹介

ポール・セザンヌ《「レヴェヌマン」紙を読む画家の父》

ポール・セザンヌ 《『レヴェヌマン』紙を読む画家の父》
1866年 油彩・カンヴァス

National Gallery of Art, Washington
Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon

1866年に制作された、父親ルイ=オーギュスト・セザンヌを描いた大型の肖像画です。父親は自宅で、日常の衣服を着て、花柄のひじ掛け椅子に座っています。エクス=アン=プロヴァンスで銀行家として成功した父親の、私的で親密な、威厳のある瞬間を、ポール・セザンヌは描き出しました。後ろの壁には、当時完成したばかりの静物画が掛けられています。初期時代の特徴的な技法の一つであった、パレット・ナイフを使用した厚塗りが顕著に見られる静物画ですが、この技法は本作品にも部分的に使われています。『レヴェヌマン』紙はパリの急進的な新聞で、この年には友人であるエミール・ゾラがサロン評を連載しており、そこでマネを擁護していました。当時、父親が実際に読んでいた保守的な新聞の紙名ではなく、『レヴェヌマン』紙のそれを描き加えた画家の意図には、息子に法学の道を勧めるばかりで、前衛芸術に対する理解の乏しかった父親には屈しないという挑発も込められていたのです。

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