初期時代に伝統的な風景画制作を学んだコローでしたが、後年になると、その古典的な素養に満足するばかりではなく、戸外での制作に尽力して、後の印象派へと続く道を切り拓きました。本作では中央の木を境にして、左側の密生する木々に囲まれた比較的浅い空間と、右側の小川によって導かれる奥行きのある空間とが対照を成しています。水の反映や光の具合から、おそらく右側の風景は戸外で制作したスケッチに基づいて制作されたのでしょう。