本作は、パリのオペラ座で毎年開催された有名な仮面舞踏会を描いたものです。仮装した高級娼婦たちの相手をしているのは、礼装に身を包んだ上流階級の紳士たちです。黒装束の人物を意図的に並置したため、その色彩の印象が劇的に高まっていて、上方で水平に広がるバルコニーの白との対照が際立っています。前衛画家としてのマネは、同時代の社会や風俗といった近代生活を主題とした絵画にいち早く取り組み、印象派の画家たちがそれに続きました。