田園風景を好んで描いていたピサロは慢性の眼病を患って以後、風や光の刺激がある野外での制作が困難となりました。そのため晩年には窓から見た街の風景を描くようになります。本作では、パリのリヴォリ通りのホテルの部屋から、眼下に見えるルーヴル宮とカルーゼル広場を、右手にはチュイルリー公園の緑を望んだ景色を描いています。散策する人々やその横を駆け抜ける馬車を捉えた自由で素早いタッチが、都市の営みを活写しています。