《ひまわり》が南フランスの太陽やユートピアを象徴していたといわれるように、ファン・ゴッホはしばしばモチーフとなる花に深遠な意味を込めましたが、ここでは花瓶からあふれんばかりの薔薇を生き生きと描くことで、春の訪れや生きることへの喜びが率直に表現されています。残念ながら今日では全体に退色していて、ファン・ゴッホが意図した赤と緑の対比的な効果は薄れていますが、その分、エネルギッシュな筆遣いが際立つ作品です。