2026.4.4その23 石川県輪島市町野町 「まちの八重桜プロジェクト」桜フェス
コンテンツ制作局アナウンス部 五十嵐にいか
能登半島地震が起きた日、アナウンサー志望の学生だった私は、何もできない無力感に苛まれながら、ただ呆然とテレビ画面を見つめることしかできませんでした。
震災から2年3か月、そして能登半島豪雨から1年7か月。
今回、アナウンサーとして現場へ赴く機会をいただき「現地の皆さんの生の声を聞き、今の能登をこの目で確かめたい」という思いを胸に、初めて石川県輪島市町野町を訪れました。
この日の町野町では「桜フェス」が開催されていました。甚大な被害を受けた後、地域の皆さんの手によって始まったお祭りです。強風と雨の中、傘を差しながら町を盛り上げようとする熱気に包まれていました。今回よみ人知らずではクイズや絵本の読み聞かせなど1時間のステージを行いました。
テレビ金沢の髙槌七海アナウンサーによる方言や地域に関するクイズや日本テレビ報道局のメルニク・ヴィクトリアさんによる、日本とウクライナのつながりをテーマにしたクイズも実施しました。「状況はちがうけれど、故郷が傷ついている者同士、分かり合える思いがあるはず」ヴィクトリアさんの言葉通り、出店に並んでいる方々まで手が上がり、たくさんの方に参加していただきました。終了後、10代の男の子たちが「楽しかった!」「意外と簡単だったよ」と直接感想を伝えに来てくれたことは、かけがえのない喜びです。
絵本「はるさんと1000本のさくら」の読み聞かせでは、作者のただのぶこ先生も駆けつけてくださり、物語のメッセージを直接届けていただきました。
ステージの後には町内を視察。山間部にある町野町では、地震と豪雨の影響で住宅再建ができない「レッドゾーン」に指定された地域が少なくありません。震災前に家が立ち並んでいた場所の多くは現在更地となり、公費解体の同意が得られず崩れかけた家屋の中には倒れたままの家具が残されています。山肌は崩落して表土を晒し、海岸には豪雨で川から流れ出たおびただしい数の流木やがれきが打ち上げられています。
日常という「当たり前」を突然奪われた悲しみ。それでもなお、手を取り合って前を向こうとする人々の力強さ。学生時代に感じた無力感は、伝え手として、教えていただいた現状を決して風化させないこと、そして、能登の皆さんの歩みを、復興のその日まで追い続けることへの使命感へ変わりました。
報道局デジタルグループ メルニク・ヴィクトリア
4月4日、「よみひと知らず」に参加しました。私は日本テレビで働き始めてまだ日が浅く、普段の業務は主にオフィス内のため、このような現場での経験はこれまでほとんどありませんでした。
能登地震は、私が働き始めてからわずか1か月後に発生し、当時私はニュースを通してその状況を追っていました。私にとっては非常に衝撃的な出来事でした。というのも、母国のウクライナでは地震はほとんど発生せず、まして大きな地震はほぼないため、その被害の規模についてはテレビでしか知ることがなかったからです。能登地震は非常に大きなニュースとなり、ウクライナでも報じられました。当時、母がとても心配して電話をかけてきて、「東京も被害を受けていないか」と尋ねてきたことを今でも覚えています。
それ以来、実際に能登を訪れ、日本で暮らす人々がどのような困難に直面し、それをどのように乗り越えているのかを自分の目で見てみたいと思うようになりました。
町野はとても小さな町ですが、そこに住む人々はとても温かく、私たちのチームのためにたくさんのおにぎりやお菓子を用意してくださいました。住民の多くは高齢の方々でしたが、それでも地域の復興のために、自分たちにできることをしようという強い意志と活力を感じました。悪天候の中でも、人々は傘をさしながら桜祭りに集まり、雨の中でも笑顔を見せていました。その笑顔がとても印象的でした。
私たちのチームで準備したウクライナに関するクイズやお守り人形が、町野の皆さんの気持ちを少しでも明るくし、ウクライナと日本をつなぐ小さな架け橋となっていれば嬉しく思います。日本は、ウクライナが困難にあるこの時期にもウクライナを大きく支援してくれています。だからこそ、私自身もささやかではありますが、支援の気持ちをお伝えしたいと思いました。
特に印象に残ったのは、元消防士の崎田さんに案内していただいた町野の見学です。地震から2年が経った今でも、各地にその爪痕が残っていました。倒れた木々や、崖から崩れ落ちた大きな岩、そして文化財を含む多くの建物が被害を受けていました。中でも強く心に残っているのは、「すべてはわずか2分で起こった」という言葉と、家屋の下敷きになって14人が亡くなったという事実です。その瞬間、自然災害も戦争と同じくらい恐ろしいものになり得るのだと強く感じました。
「よみひと知らず」のような取り組みが、より多くの人々の関心を能登に向け、復興が予想よりも早く進むことを願っています。そして、町野で年々桜の数が増えているように、この地域に戻ってくる若者の数も増えていくことを願っています。
- 参加者
- 鈴江奈々・浦野モモ・五十嵐にいか(日本テレビ)
髙槌七海(テレビ金沢) ほか

















































