#017 新元号「令和」 決定舞台裏と込められた意味は?
発表まで完全に漏れなかった「令和」。
どのようにして極秘裏に絞り込まれたのか?
裏側が見えてきました。

関係者によると菅官房長官が
元号案を見始めたのは2019年2月頃で
最終的に6案に絞られたのは3月末だということです。
ただ、元号発表当日に至るまで
全容を知る人は4人以下だったそうです。

2019年4月1日の朝の有識者懇談会では
複数の出席者によりますと全員に封筒が配られ
「ではご覧ください」と言われ中を見たといいます。

紙の大きさは、A3説とA4説があります。
1枚の紙に縦書きで、
この時、
有識者たちは初めて元号の候補案を見たそうです。
関係者によりますと、示された元号案は6つ。
あいうえお順に元号案が並び、
それぞれの出典や意味が書かれていたといいます。
ら行の「令和」が書かれていたのは一番左でした。
安倍総理の「安」の文字は
候補に入っていなかったといいます。
会議のあと、出席者はこう話しました。
○作家・林真理子氏
「みなさん一致したんじゃないかと思います」
「(令和が)一番人気があった」
○日本民間放送連盟会長 大久保好男氏
「本当に国民の方々に広く使ってもらえる、
受け入れられる元号に決まればいいな
という思いで発言をした」
この有識者懇談会のやりとりが
決定の大きなポイントになったもようです。
こうした舞台裏もあって決まった「令和」ですが、
さらに詳しく知るためにこちらです。
新元号「令和」に込められた意外な意味。
訪ねたのは貴重な資料が多く眠る國學院大学の図書館。
そこに保管されていたのは…。

○櫻井
「万葉和歌集…」
「万葉集」は奈良時代に完成した
およそ4500首の和歌からなる現存する日本最古の歌集です。
その中に…。

○櫻井
「令・・・和・・・これですね」
「令和」がありました。
出典となった『万葉集』とは…。
『万葉集』についての著書もある研究者にうかがいました。
○古代文学に詳しい
東京大学
神野志隆光 名誉教授
「ただ単に天皇から貴族という階層の人だけじゃなくて
たとえば防人(=九州を守るために集められた兵士)の
歌も載っている。
東国に根をおろしたような方言を交えた歌も載っている。
作者の層も広い」
その点で、「国民歌集」とも呼ばれていたといいます。
では、「令和」が含まれる「梅花」の一説は
どのような意味なのでしょうか。
○櫻井
「初春の“令”月にして、氣淑く風“和”ぎ…」

これは、歌人・大伴旅人が
福岡・太宰府市の邸宅で宴会を始める前の挨拶での一説。
「令月(月もよく)風も和らいでいる」と
歌をよむには良い環境だと話したものだといいます。
こちらはその宴の様子を博多人形で再現したものです。
○神野志名誉教授
「『梅花の宴』っていう当時でいうとハイカラというか
モダンな宴会だったと思うんですね」
では、『令和』という言葉から
どのような時代が見えてくるのでしょうか。

○神野志名誉教授
「『令』=善、よい。
『和』=和らぐ、平和。
この2つを組み合わせると『よく和らいだいい状態』
平和な状態であることを示すと同時に、
令には『~させる』。
『これからもずっと(平和を)続けさせる』という
意味でよく選んだ字だなと」
○櫻井
「良かった部分、それはこれからも続くように。
そしてこれからも、よりよい時代にということですね」