#023 拳銃奪われる事件 対策は?
警察官の拳銃が奪われる事件は
2013年から2019年までで
今回を含めて少なくとも9件起きています。
その手口から対策をみていきます。
相次ぎ襲われる警察官
拳銃“強奪”防ぐには

記憶に新しいのは2018年6月。
富山市の交番で警察官が
刃物を持った男に殺害された事件。
さらに拳銃を奪った男は発砲し
近くにいた警備員を殺害しました。

このとき警察官の腰のベルトと拳銃をつなぐ
「つりひも」が切断されていました。

さらに2016年、神奈川県・横須賀市では
トラブルの通報を受けて団地にかけつけた警察官が
男に襲われ拳銃を奪われました。
このとき現場にいた警察官は1人でした。

そして2019年4月。
横浜市では口論を止めに入った警察官が
男に拳銃を奪われました。
このとき拳銃は「つりひも」で繋がったままでしたが
いつの間にか拳銃入れから男に引き抜かれて
発砲されたということです。
警察官から拳銃が奪われる事件を防ぐため
これまでも警察庁はさまざまな対策をしてきました。

まず対策の1つ目はこちら。
刃物を突き通せないようにする「防刃ベスト」です。
これは撮影用のものなので
中に入っているパッドが柔らかいんですが
本物のベストは堅くて重い板状のパッドが入っています。
一般的には警察官はシャツの中に着用します。
今回や、2018年の富山の事件もそうですが
拳銃を奪おうとする犯人は刃物で襲ってくることが多いため
交番で勤務する警察官は
現在はいつも着用することにしています。
今回、被害にあった古瀬巡査も「防刃ベスト」は着ていましたが
警察OBによりますと防刃ベストは有効な対策ですが
刃物を完全に防ぐことはできないということなんです。

対策の2つ目は「ひとりにしない」です。
警察官も犯人と「1対1」は危険です。
そのため、警察庁はひとりではなく
“複数”であたるように指示しています。
今回も、交番には3人の警察官がいたんですが
ウソの通報があって
巡査がひとりになったときを狙われました。
そして3つ目は「奪われない拳銃」です。
拳銃は「つりひも」で
腰のベルトとつながれています。
この「つりひも」が切られて
拳銃が奪われるケースが相次いだため
「つりひも」の芯に金属を使い、切断されにくくしました。
しかし今回は「つりひも」と拳銃をつなぐ
金具の部分が外されていました。
さらに「拳銃入れ」も改良しました。

従来の拳銃入れは警察官本人以外も拳銃を
引き抜けてしまうことがある構造でした。
しかし新しい「拳銃入れ」は警察官本人は引き抜けても
それ以外の人物からは
抜きにくいつくりになっているといいます。
事件があった吹田警察署でも5月末から
この新しい拳銃入れを配布し始めていましたが
古瀬巡査にはまだ渡っていなかったということです。