#008 スプレー缶"ガス抜き"の危険

2018.12.17

今回の爆発は室内に充満したスプレーの成分に
引火した可能性もあるとみられています。
今夜のプライチはこちら。

【スプレー缶"ガス抜き"の危険】

建物が吹き飛んだ不動産仲介会社。
重傷を負った従業員は
「スプレー缶100本以上を廃棄するため
“ガスを抜く”作業をした後
給湯器を使おうとしたら爆発した」と話しています。

私たちの身近にある缶スプレーですが
中のガスは扱いを間違うと非常に危険です。

千葉市消防局が行った実験があります。
スプレー缶を20秒間噴射し、火をつけると。
20秒間の噴射にもかかわらず大きな爆発が起こりました。
 
“ガス抜きの危険”について
防災の専門家に話をうかがいました。

防災ナビゲーター(元小田原市消防本部)
永山政広氏
「よく燃料で使うプロパンガス、
あのボンベに入っているものですね。
あれと“ほぼ同じもの”だと考えていただいても結構。
静電気のようなものでパチパチっと火花がとぶ。
それだけでも条件がそろえば引火して
爆発することもある。
スプレー缶に入っているようなガスが一本分
部屋中に漏れたとしたら
“部屋の壁を吹き飛ばすくらいの威力”というのは
十分ありうる。」

さらにスプレー缶のガスはプロパンガスに比べて
危険に気づきにくい面があるといいます。

永山政広氏
「燃料で使うようなプロパンガスというのは
“着臭剤”がつけてあるんですが
スプレー缶の充填剤のものについては
“特に臭いはついていない”ケースが多いので。
危険なものが漏れているということは
少し意識しづらいかもしれない」

また“置き方”にも注意が必要です。

永山政広氏
「うっかりストーブの近くにスプレー缶を置いてしまって
熱で中の圧力が膨張して
缶が破裂して漏れたガスにストーブの火が引火して
近くにいた方が大やけどをしたケースもある。
スプレー缶のガスは非常に可燃性で
非常に危険なものが使われているんだということを
よく認識する必要がある」

今やヘアスプレーや殺虫剤など
身近なところに多くあるスプレー缶ですが
捨てる際には家庭でも注意が必要です。



今回、事故があった札幌市では家庭ゴミの場合
まず中身を使い切って、ガス抜きをします。
缶に穴をあける必要はありません。
そして他のゴミとは分けて
中身が見える袋に入れて出してほしいとしています。

2017年までは捨てる前に穴をあけるよう
お願いしていましたが消費者の安全を考えて
「穴をあけなくてもよい」と変更したといいます。

実は、捨て方はお住まいの自治体によって違っていて
神戸市では現在できればガス抜きをした上で
穴もあけてほしいとお願いしています。



というのも、こちらは東京・立川市で
2018年4月に起きたゴミ収集車の火災ですが
燃えないゴミに混入していたスプレー缶が
原因のひとつと考えられています。

こうした事故の恐れから立川市でも
ガス抜きをした上で、穴をあけてほしいといいます。
さらに水ですすいでから
出してもらうようにしているといいます。

では中身を使い切った上で行う「ガス抜き」ですが
その方法をご紹介します。

まず前提として屋内では絶対にやらないようにしてください。
LPガスは空気より重いので
たとえ換気をしていても屋内では危険です。
風通しがよく火の気がない屋外で行うようにしてください。

ガス抜きのやり方は
どのようなキャップがついているかによって違います。
たとえばキャップの天井が凹んでいるタイプの場合は
缶のスプレーボタンを外して逆さにし
置いたキャップの天井にノズルを押し込みます。
「シュー」というガスが出る音がしなくなれば終了です。
けっして中身が残っている状態で試さないでください。

自分の住む市区町村ではどのようなルールなのか
確認することが大事ですが
専門家は「これを機に全国バラバラの廃棄方法を
統一してはどうか」と提案しています。