“過去最悪”クマ被害…トップに聞いた「対策」
○櫻井
この日、私が話を聞いたのは、
「クマ対策」を担当する
環境省のトップ
浅尾慶一郎大臣です。
浅尾大臣はzeroの取材に、
ハンターを公務員として
雇うための支援を
「来年度中」にも行う考えを
明らかにしました。

○櫻井
「よろしくお願いします」
○浅尾慶一郎環境相
「浅尾慶一郎です
よろしくお願いします」
私がきょう、話を聞いたのは
「クマ対策」をつかさどる、
環境省のトップです。

○櫻井
「コメは農水省というような
イメージがありますが
クマは環境省の所管?」
○浅尾環境相
「鳥獣保護管理法に基づいて
環境省が所管をしています」
今年度、全国で7人が亡くなり、
“過去最悪”となっている
クマによる人的被害。
専門家によると、
北海道のヒグマの個体数は
この30年で2倍に増加し、
本州などのツキノワグマも
生息域が拡大しているといいます。

さらに、最近は
「人を恐れないように
なっているクマ」が
増えているとみられています。

○櫻井
「亡くなられた方以外を含めると
100人単位での被害がある。
環境省としてどのくらいの
危機感を抱いている?」
○浅尾環境相
「原因は1つではないと思うが
(クマの個体数の)目標よりも
増えてしまっている、
ということがあると思います」
「個体数を科学的に管理をして、
しっかりと
適正な数にしていこうという
ことを目標に掲げています」
「その上で、市街地にクマが
出てくることになるような
誘引物をできるだけ
除去してもらいたい」
「例えば、かつては果樹として
使われていた柿とかが、
そのまま取りにいかなくなって
放置されていると
“いい餌”になっている」

クマとの共存を目指すためには、
クマが好む「柿などの果物」や
「生ゴミ」などを
できる限り減らすと同時に、
もし、ヒトの領域に入ってきたら
適切に追い返したり
捕獲したりする
“すみ分け”のために
「クマハンター」が不可欠です。

しかし、全国で「狩猟免許」を
持っている人の数は、
この40年あまりで
半分以下の約22万人まで激減。
さらに、
その半数以上が60歳以上で、
狩猟技術の継承が
課題となっています。

○櫻井
「(クマの)個体数の管理という
部分では猟友会(のハンター)
に頼らざるをえない
部分が多いと思いますが、
これはどういった理由からに
なりますか?」
○浅尾環境相
「例えば警察官が持っている
ピストルでは、多分クマには
効かないということになる」
「銃、ライフルの扱いに
慣れている方に
協力してもらうことになる」
○櫻井
「銃の中でも、
ライフル銃を取り扱えないと
クマの対応は難しい?」
○浅尾環境相
「ピストルだと(クマを)
貫通しない場合もあるだろう」

環境省によると
ハンターの減少によって
クマがハンターに
追われる経験が減り、
「人をおそれないクマ」が
人里に出てくるように
なってきているといいます

クマなど野生生物の
生態や管理に詳しい
酪農学園大学の
伊吾田宏正准教授によると、
クマの捕獲には、
反撃などの大きなリスクがあり、
捕獲する人には
高度なスキルが求められます。

しかし、
一般的なハンターの中には
トリやシカなどを
捕獲しているケースも多く
「クマハンター」として
特別な訓練を受けている人は
非常に少ないのが現実です。
そのため、将来的には
国や自治体がクマハンターを
支えたり、育成したりする
仕組みなどが必要だといいます。


○櫻井
「国や自治体がいわゆる
“公務員ハンター”を養成すべき
という意見もある。
こうした計画はありますか?」
○浅尾環境相
「銃猟ができる資格を持っている
人を(自治体が)
直接雇用ができるような形で、
雇用する原資を出す交付金を、
いま財務省と交渉している。
できるだけ早くそういった方を
雇用できるように
していきたい」

○櫻井
「時期のめどというのは」
○浅尾環境相
「できるだけ早くですので、
来年度の予算、あるいは
その前の予算でできればと
考えています」
○櫻井
「次の内閣になったとしても
同じようにこのクマ対策は
意識を強く持っていくと
いうことでよろしいですか?」
○浅尾環境相
「当然そういうことになります。
亡くなられた方はもちろん、
ケガをされた方も大変なこと。
そこはしっかり、
そういうことがないよう
対策を
強化しなければいけない」
○櫻井
浅尾大臣は
クマを専門に扱う
ハンターを増やすため、
国として支援を行いたいと
明言しました。
○藤井
今年度、クマによる死者が
過去最多となる中、
zeroは今後もこの問題について、
しっかりお伝えしていきます。