#257 「危険運転致死傷罪」適用要件の見直しへ…遺族の思い
車の事故について、
9月29日に1つの指針が示されました。

法務大臣の諮問機関である
「法制審議会」で
「危険運転致死傷罪」の
適用要件の見直しに向けた
部会が開かれました。

「過失運転致死傷罪」の場合、
法定刑の上限は7年。
「危険運転致死傷罪」の場合は
上限は20年と刑の重さに
大きく差があります。
最高速度を大幅に超えた運転や
飲酒運転などによる死亡事故でも
「危険運転」ではなく
「過失運転」となるケースもあり、
遺族などからは、「適用要件の見直し」を
求める声が上がっていました。

「危険運転致死傷罪」が成立するためには、
現行の法律では、飲酒運転の場合は
「正常な運転が困難」かどうか、
猛スピードの運転の場合は、
「制御が困難」かどうか、
などとなっています。
部会では、このあいまいだった要件に
具体的に数値基準を設けることが議論され、
それぞれ2つの案が示されました。
たとえば飲酒運転では、
アルコール濃度が
・呼気1リットルにつき
0.25ミリグラム以上
もしくは、
・0.5ミリグラム以上だと
「危険運転」に。
猛スピードの運転では、
最高速度が60キロ以下の道路では、
・その時速を40キロ
・または50キロを超えた場合
最高速度が
60キロを超える道路では、
・その時速を50キロ
・または60キロを超えた場合
「危険運転」とする案です。
○藤井
現在は案の段階ですが、
案が認められた場合、
この基準を満たさないとしたら
どうなるのでしょうか?
○櫻井
部会では正常な運転が困難な場合などには
数値基準が下回っていても
適用できる案が示されています。
遺族にとっても大きな差となる
「危険運転」の適用。
飲酒運転による事故で母親を亡くした
遺族の男性にお話を聞きました。
中田康介さんです。

○櫻井
「数値の基準が示されたことは
どう受け止めていらっしゃいますか?」
○交通事故で母を亡くした
中田 康介さん(37)
「活発に議論がなされるのは
遺族としてはいいのかなと
受け止めています」

○櫻井
中田さんの母・井野真寿美さんは、
2024年3月、
飲酒運転の車にはねられ亡くなりました。

○交通事故で母を亡くした
中田 康介さん(37)
「母は普通に青信号を
横断歩道を渡っておりましたし
なぜ命を落とさなければ
ならなかったのか
私たち遺族としては
すごくもう正直地獄のような
苦しみを抱いていました」

○櫻井
車の運転手は
「過失運転致死」などの容疑で
書類送検されていますが、
中田さんは、より刑の重い
「危険運転致死」での起訴を求めて
署名活動を行ってきました。
○交通事故で母を亡くした
中田 康介さん(37)
「飲酒運転によって
人が亡くなっているので、
とても過失運転とは考えられないです」
○櫻井
「飲酒運転や
猛スピードの危険な運転は
後を絶たない現状もあります。
どのような思いを
抱いてらっしゃいますか?」
○交通事故で母を亡くした
中田 康介さん(37)
「私としてはなんとか
母の無念を晴らすために
最大限力を尽くしたいなと
個人的には思っています」
○櫻井
中田さんは、
「数値基準だけで過失か危険運転かを
線引きするのでなく
事象を広く捉えてほしい」
ともおっしゃっていました。
審議会の部会では、
今後、さらに議論を深め、
法改正に向けた方向性をまとめ、
法務大臣に答申する予定です。