戦後80年…頼総統就任1年 兵役に揺れる台湾の若者
戦後80年となる2025年
私たちは
「いまを、戦前にさせない」を
テーマに様々な特集をお伝えしています。
5月20日櫻井キャスターは、総統府へ。
○櫻井
「こちら会見場です。
すでに多くのメディアが集まっています」

海外含め
およそ60社のメディアが集まり、
満席となった会見場。
そこに…。
○櫻井
「頼総統現れました。
フラッシュもたかれていますね」

台湾の頼清徳総統。
就任1年となり記者会見を行いました。
圧力を強める中国について…。
○台湾
頼清徳 総統(65)
「安全保障の対策を打ち出し
人民が一丸となって
中国の脅威に対抗します。
戦争に備えることで、
戦争を回避し平和を実現します」

一方で、
「対等な立場で尊厳がある限り、
台湾は中国との交流と協力を喜んで進める」
と改めて強調しました。

防衛力強化を進める台湾。

18日、櫻井キャスターとの
インタビューでは
台湾の兵役について…。
○櫻井
「2024年、4か月の兵役が
1年に延長されました。
私たちの取材では、
その延長について
大変意義深いと思う方もいる一方で、
戸惑いや不安を覚える方もいました」
○台湾
頼清徳 総統(65)
「兵役については、
1年に戻したのであって、
1年に延長したわけではありません。
1年に戻した目的は、
防衛力の強化とともに、
国際社会に台湾を守る
我々の決心を示すことにあります」

18歳以上の男性を対象に
兵役の義務がある台湾。
期間は、かつては2年~3年でしたが、
徐々に短くなり
2013年からは「4か月」に。
しかし、ロシアの
ウクライナ侵攻をきっかけに
台湾では中国に対する危機感が高まり
去年から1年間の兵役期間が
復活したのです。
現在、日本にはない兵役。
これから兵役に就く
若者たちに聞いてみると…。

○大学2年生(20)
「4か月だとあまり学べません。
1年ある方が全体を知ることが
できると思います」

○大学2年生(19)
「兵役は必要だと思いますが
誰も戦争には行きたくないです」

大学2年のこちらの2人は
同学年なのに、兵役の期間に違いが…。
○大学2年生(20)
「私は4か月です」
○大学2年生(20)
「私は1年の兵役になって落ち込みました。
あと27日早く生まれていれば
4か月ですんだのに」
○櫻井
「27日というのは
何月何日生まれなんですか?」
○大学2年生(20)
「1月27日です」

左の彼は2005年1月27日生まれ。
右の彼は2004年10月生まれ。
今回、1年間に延長された
「兵役」の対象は、
2005年1月1日以降に
生まれた男性なのです。

○櫻井
「この27日で
4か月か1年か決まってしまう」
○兵役期間が1年間
大学2年生(20)
「増えた8か月は
自分を鍛えるためだと言い聞かせます」

兵役を終えたばかりの男性にも
話を聞くことができました。
2005年6月生まれの
林子佑さん19歳。
2025年2月に、
1年間の兵役を終えました。
○櫻井
「入る前は軍にどんなイメージが
ありましたか?」
○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「きっと厳しくて、
嫌な感じがすると思っていました。
中に入ったら自由がないし、
何もできないだろうなって」
○櫻井
「林さんの生まれた年から
兵役の期間が4か月から1年に伸びた
タイミングについては
どのように感じましたか?」
○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「自分は運が悪い、
ついてないなと思いました。
生まれるのが6か月違っていたら
4か月ですんだのにって」

射撃やケガ人救護の訓練などを
繰り返す日々。
○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「毎日毎日同じことの繰り返しで
本当にイヤな気分でした」
ただ次第に、気持ちの変化が…。

○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「同期の仲間と
一緒に怒られたり、笑ったり。
最初は何も出来なかったけど
みんなで練習を繰り返して
できるようになっていく。
達成感がありました」
有事の際には招集に応じるか聞くと。
○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「はい、応じます。
台湾の福祉など
恩恵を受けているわけですし、
もし攻めてきたら、
自分も力になりたいです」
○櫻井
「怖さはないですか?」
○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「怖いです。
でも行かないといけないです。
中国は中国、台湾は台湾です。
私は今の台湾が好きですから」

決意を口にした林さん、
一方で、若者らしいホンネもこぼしました。
○櫻井
「もし選べるとしたら
4か月と1年の兵役、
どちらを選びますか?」
○1年間の兵役を終えた
林子佑さん(19)
「4か月を選びます。
もともと仕事をしていて
そちらの方が給料がいいですから。
短い方がいいですね」