能登半島地震から2年~故郷・輪島で新たな歩みと続く葛藤~
震災から2年となった
能登半島地震の被災地。
建物は公費解体され
少しずつ前に進む一方で
震災で“人口減少”という課題が
加速しています。
私はきょう
能登の現状に葛藤を抱えながらも
一度は離ればなれになった
家族とともに
能登で“新たな歩み”を始めた
男性を取材しました。
「ずいぶんと更地となっている場所が
増えている印象があります。
このあたりも、建物が
以前はまだ立ち並んでいた
記憶があります」

能登半島地震から2年。

大規模火災が起きた「輪島朝市」。

今は公費解体が進み
更地がさらに広がっていました。

○櫻井
「ご無沙汰してます。
お久しぶりです!
うれしい、お元気そうで」
再会したのは、
輪島朝市に店舗を構える「日吉酒造」。

○櫻井
「初めてお会いしたとき
このあたりでしたよね?」
○日吉酒造・日吉智さん(51)
「ここですね」

2年前出会ったとき
この場所に立っていた酒蔵も…。

2025年の年末、解体され
井戸だけを残して、更地に。
現在、
県内の酒造仲間の酒蔵を借りて
酒造りを続けています。
○櫻井
「解体が進むと
お気持ちいかがですか?」
○日吉酒造・日吉智さん(51)
「スイッチが切り替わるというか
改めて前向きに
頑張っていかなきゃなという気にはなる」
ただ震災当初よりも
人件費や資材の高騰などで
再建費用が2倍近くになる可能性があり
大きな悩みになっているといいます。
復興が進むなかで、見えてくる現実。
それでも1人1人が
歩みを進めていました。

○櫻井
「こんにちは」
惣領泰久さん、43歳。

ここは輪島朝市の隣にある「わいち通り」で
惣領さんが営むイタリア料理店。
○惣領泰久さん(43)
「ここは仮設店舗になります」
○櫻井
「いままさに準備中?」
○惣領泰久さん(43)
「準備中ですね」
○櫻井
「いつごろ開店を目指して?」
○惣領泰久さん(43)
「来週あたりを目指している」
あれから2年。
ようやく本格的に
営業を再開するといいます。

笑顔が絶えない惣領さん。
ただここまでの道のりは
長く険しいものでした。

店の目の前に建っていたのは、
かつての店舗兼自宅。
地震で建物が傾いてしまい、
取り壊しが決まっていました。

ここで妻と3人の子どもらと
暮らしていた惣領さん。
しかし震災で、家族は離ればなれに…。
店の再開を目指す惣領さんは輪島に残り、
妻や子どもたちは
金沢に避難することになったのです。
○櫻井
「生活はどうだった?」
○惣領泰久さん(43)
「毎週末、家族に会いに金沢に走っていたが
しんどいときもありましたね。
正直言って。
向こう(金沢)で家族と過ごして
こっちに帰ってくる」
○櫻井
「1人で?」
○惣領泰久さん(43)
「帰ってくる間にも
ずっと道路が崩れている。
被災地と呼ばれているところに
自分が戻っていく行為が
よくわからなくなるときがあって」

妻・めぐみさんは、
当時の心境について。
○妻・めぐみさん(36)
「金沢行こうと決めたときは
とにかく子どもを守らなきゃ
という気持ちが大きかった」
「戻ることは最初から決めていて
旦那は輪島が大好きだし
輪島でお店をやりたい。
それは私も一緒の思い。
子どもたちも『輪島に戻りたい』って
ずっと言っていて」

そして2025年春、
二男の小学校入学に合わせて、
再び家族そろって
輪島での生活を始めました。

サッカーに夢中の長男・成くん。
○櫻井
「輪島に戻ってきたときはどうだった?
うれしかった?」
○長男・成くん(9)
「うん」
○櫻井
「いま楽しい?」
○長男・成くん(9)
「楽しい」
○惣領泰久さん(43)
「結局誰とどこに住むかですよね」
本格的な営業再開を前に、
この日の夕方、店舗ににぎわいが…。

惣領さんが、
仲間と被災地の食を支援するための
イベントを開いていました。
実は開催には、もう1つ事情が…。
○惣領泰久さん(43)
「普通の生活が大変ですよね」
○櫻井
「どういう点が?」
○惣領泰久さん(43)
「輪島ってお子さんが多い
家庭が多いんですよ。
みんな子供たちに
普通の状況を作りながら、
普通ではない状況で
みんな働いているので。
そのギャップが大変だと思う」
○櫻井
「子供たちに感じさせないように
親は努めるけど?」
○惣領泰久さん(43)
「週末いろんなところに
遊びに連れて行ったり、
サッカーの試合があると
週末に金沢に行ったり
で、帰ってきて仕事を繰り返している
そういう親御さんがめちゃくちゃいる」
人が集まって、
“少しでも楽しく過ごしてほしい”
という願いを込めて…。
一方で、惣領さんにも大きな悩みが。

いま震災前と比べて、
人口減少が進む輪島市。
特に多くの若い世代が
輪島を離れているといいます。
○惣領泰久さん(43)
「中学生で能登半島を出ていく
選択肢が当たり前になっている。
それを視野に入れないと」

3年後、中学生になる長男。
ただ再び家族が離れたとしても、
背中を押したいといいます。
○惣領泰久さん(43)
「部活とか、何か一生懸命
打ち込みたいとなったときに
環境がそろっている場所に
行くべきだと思うし、
それは僕らは止められないので
子どもの好きなように
させてやりたいなと」