#238 「コメ高騰で“肉”にも意外な影響が」
○櫻井
実は今、コメ価格の高どまりが
「お肉」にも影響を
及ぼしているということで、
取材してきました。
○櫻井
「こんにちは」
伺ったのは栃木県日光市にある、
養豚農家です。
○櫻井
「こちらは
どのくらいのブタがいて、
1日どのくらいのエサを
与えることになるんですか?」
○今市ファーム永吉幸次さん
「3000頭この建物でいます」
○櫻井
「3000?」

○永吉さん
「肉豚用のエサで1日
だいたい4トンですよね」
○栃木県開拓農協 秋元一郎さん
「これがですね、
うちの豚の仕上げのエサです」
「エサの中には飼料用米が
45%入っています」
○櫻井
「45%」
「およそ半分は、
お米が入っている?
○秋元さん
「お米が入っています」
「こちらがお米を食べて育った
とんかつ“平牧三元豚”です。
ぜひ食べてみてください」
○櫻井
「いただきます」
「色がまずきれいですよね、
ちょっと白みがかっている
というか」

○秋元さん
「お米を食べていると
脂身が白くなるんですね」
○櫻井
「やわらかくて…あっ…甘い!」
「うまみがじゅわーっと
広がってきますね!」
○櫻井
「特に脂身が甘みを感じますね」
「お米を食べて育った豚肉は
甘みが特徴ですか?」
○秋元さん
「お米を食べると甘みが増すとは
よく言われていますね」
○櫻井
「コメ価格の高騰が
どういった影響を及ぼしていますか?」
○秋元さん
「主食用米の値段が
上がっていることに対して、
飼料用米の生産が
減ってきている」
「どうしても飼料用米から
主食用米にシフトしている
という形です」
「減った分については
ブタには我慢してもらって
コメの量を減らすという形を
とろうと思っています」

実は、これまで政府は
食料自給率の向上を目指して
国産の飼料用米を育てる
コメ農家に補助金を
出すなどして
生産を促してきました。
しかし、主食用のコメが
不足している今、
エサとしての米不足も
起きているのです。
私が先週取材したコメ農家の
多田さんも
飼料用米から主食用米へ
比率を8対2に増やすなど、
「シフトチェンジ」が
急速に進んでいます。

○櫻井
「エサはどこで
どのようにあげて
いらっしゃるんですか?」
○吉永さん
「自動的に流れてくる
仕組みになっています」
○櫻井
「まさに今こちらの飼料は
コメ配合のものですか?」
○永吉さん
「そうですコメが入っている
エサですこれが」

○櫻井
「本当だ、45%」
「ああ今食べていますね!
今エサ食べに行った」
コメの生産に詳しい
宇都宮大学の松平尚也助教は、
今年秋の飼料用米の生産は
さらに「大きく減る」と
予測しています。
永吉さんの農場では
コメの比率を下げ、
元々飼料として使っていた
トウモロコシの
比率を増やすことも
想定しているということです。
○櫻井
「米の価格も高騰、
あとトウモロコシの価格も高騰。
これダブルパンチ
なんじゃないかと
感じたんですけど」

○秋元さん
「配合飼料価格は
4年前くらいから比べると
倍近くは上がってきている」
○櫻井
「倍!」
「ただ、それを消費者の皆さんに
届ける価格に反映させるかは…」
○秋元さん
「いままでも飼料代が徐々に
上がってきた段階で
食べていただいている方にも
負担はしてもらっています」
「ただ、消費者の皆さんの
生活も大変なので、
(コスト増分の値上げは)
おさえている、という形に
なっています」
○藤井
「養豚農家の皆さんも
努力と工夫を重ねて今がある
状況ですが、
エサを与えて何かを
生産している農家・業界は
同じような悩みを
抱えているんじゃないですか?」
○櫻井
そうなんですよね。
きょう取材した農家だけでなく、
埼玉県で「たまご」を
販売する養鶏業者からも
「飼料用米が足りず、
今まで最大25%
配合していたのを
16%ほどまで下げて対応」
している、という声が
聞かれました。
影響のさらなる広がりが
心配されています。