#251中国・人型ロボット運動会 “世界初”の裏側は?
〇櫻井
中国・北京。
2022年に冬のオリンピックが
行われた会場で開催されたのが、
“世界初”(※中国メディア)
とうたわれた
「人型ロボットスポーツ大会」
です。
アメリカや日本など
16か国から
500体以上のロボットが
集まりました。

<キックボクシング>
〇実況
「お尻ペンペンしました。
お尻ぺんぺんして
挑発しています」
「ゴングが鳴りました!
いきなりのダウンです!」
「おお、蹴り返しました!
今度はダウンを奪い返しました!」
〇櫻井
「サッカー」
ドイツ代表 対
シンガポール代表の試合です。

〇実況
「赤チーム全員倒れました。
これはハプニングだ!」
「おっと、倒れました。
また倒れた…自分で立ち上がれない」
「ゴールを決めました!」

〇櫻井
「退場」する選手も続出しましたが、
白熱した試合が展開されました。
藤井さん。
〇藤井
いやなんか、ちょっと一瞬…
人間の動きに見えるぐらいの
リアルさがこわいですね。
〇櫻井
関節の動きがそのように見える
瞬間がありますよね。

こちらの運動会は
「全26種目」で行われましたが、
現地の報道などによりますと
そのうちの少なくとも
「20種目」で中国が優勝した
ということです。
日本の第一人者はどう見たのか?
AIロボットを研究する
早稲田大学の
尾形哲也教授に伺ったところ、
とにかく「すごい」と。
「中国はできるとわかっていたが
現実の大会を見たら驚いた」
といいます。
「AIの技術の安定感はもちろん、
あそこまで動かして、
壊れずに完走した機体があった」

「失敗もあったけれども、
それを気にせず
エンターテイメント
としてみせる姿勢が素晴らしい」
「『転んだ』が経験値になって
技術が伸びる」
「日本がいまこの運動会を
開こうと思っても難しい。
そもそも日本製の
人型ロボットがほとんどないし、
他国と比べても中国の
金銭的支援は巨額」だということです。
では、なぜ中国はいま
人型ロボットの運動会を
開催したのでしょうか?
ここからは現地で取材している
北京支局の長谷川記者に
中継で詳しく
聞いていきたいと思います。
長谷川さん、中国は
国家としてこの大会に
力を入れていたのでしょうか?
〇北京支局 長谷川記者
はい、その通りですね。
中国はこのロボット運動会を
世界にアピールする絶好の機会と
捉えていました。
こちら、中国の共産党系の
大手新聞です。
1面から9面まで
ロボットの特集記事が
組まれていて、
力の入れようがよくわかります。
〇櫻井
例えばいま開いているところ、
どういうことが
書いてあるんでしょうか?
〇長谷川記者
こちらには、ロボットが
『もっとも走れる』から
『もっとも使いやすい』
に進化した、とあり、
ただ走れるだけではなく、
実用化に向けて大きく
進んでいるとアピール
しているのです。
〇櫻井
日本チームも参加していた
ということですけれども、
どんなチームだったんでしょうか。

〇長谷川記者
はい、日本からは
サッカーに1チームが
出場していましたが、
詳細は発表されませんでした。
実は、このサッカーの試合、
よく見るとわかりますが、
「同じロボット」が戦っていて
ほとんどが中国製なんです。
ロボットの
プログラミングをしているのは
それぞれの国の技術者なんですが、
どんな基準で
出場国が選ばれたかもわからず、
出場チームも
中国が多数を占めていて
中国が自らの
高い技術力をアピールする、
「中国による中国のための大会」
のようにも感じました。
〇櫻井
この「人型ロボット」を
中国はこれから
どうしていきたいんでしょうか?
〇長谷川記者
中国はAIと人型ロボットを
かけあわせて(この分野で)
世界のシェアを握っていこう
とする思惑があるとみられます。

今回参加したロボット開発会社に
話を聞きましたが、
スポーツが最終目標ではなく
家庭などでも使えるロボットを
目指すと語っていました。
少子高齢化が深刻な中国では
「労働力」として、
人型ロボットを実際の工場で
使う動きも始まっています。
一方で、人の雇用を奪う
可能性も指摘されていて、
中国の失業率も深刻な中、
さらなる課題を背負うことにも
なりかねません。
〇櫻井
ありがとうございました。
藤井さんいかがでしょうか。
〇藤井
いま戦場ではドローンが使われて
無人機が使われる世の中に
なっていきますので、
今回一般論として、
考え方を悪い方に
広げていくとすると
ドローンが空から来て
地上から人型ロボットが来たら
日本はどうやって国を守るのか、
少し不安になって、
背筋が寒くなりました。
〇櫻井
新しい脅威がある
かもしれないですね。
2026年8月には第2回の大会開催が
すでに予定されているということです。
以上、キキコミでした。