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#205 事故から5年…池袋暴走事故遺族 松永拓也さんの思い

2024.04.22

私が話を聞いたのは、
      松永拓也さんです。

2019年4月、
池袋で起きた車の暴走事故で
妻の真菜さんと
娘の莉子ちゃんを亡くしました。

あれから5年、いま松永さんは、
加害者である
飯塚幸三受刑者92歳と
   直接面会しようとしていて、
日程調整が大詰めであることも
      明かしてくれました。

早ければ2024年5月にも
   実現する見通しなんですが、
なぜ加害者と
    直接会う必要があるのか
 松永さんの思いを取材しました。

事故現場の目の前に建てられた慰霊碑。
多くの花が手向けられています。

○櫻井
「こんにちは」
○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「こんにちは。
   宜しくお願いいたします」

○櫻井
「先週19日(金)
     5年がたちましたが
   今の思いはいかがですか?」
○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「妻と娘がいなくなってしまった
   悲しみはずっと消えなくて
 ただそのなかで、2人のことを
      愛しているからこそ
 交通事故を1つでも
 この世界からなくしていきたいと
 必死にもがきながら
        生きてきました」

案内してくれたのは、
当時家族3人で住んでいた部屋です。

○櫻井
「カレンダーも
    2019年のまま…」
○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「めくることができなくて…」

実はいま、新たな動きが…。

○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「今週中くらいには、
 日程調整を刑務所と進めたい」

禁錮5年が確定し、
服役中の飯塚受刑者と
  面会しようとしているんです。

○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「彼と対話をして
 再発防止のことを
 ともに考えるというフェーズに
     自分の中でも入って」

面会実現に向けて
動き出すきっかけとなったのが
        こちらの書類。
飯塚受刑者からのコメントが
        記されています。

○櫻井
「すべてを聞き終えた際、
   『申し訳ない』と述べた」
○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「本心の謝罪だと思う」

松永さんが使ったのは、
2023年12月法務省が新たに始めた
「被害者等心情聴取・伝達制度」。

刑務所の職員を通して
被害者の思いを
   加害者に伝えることができ、
松永さんも、
今の思いや質問を投げていました。

届いた回答で、飯塚受刑者は、
8つの質問すべてに答えていて
たとえば、
「高齢者として
   どのような社会であれば
 事故を起こさずに
        済みましたか」
という質問には
    「運転しないことです」

また「申し訳ない」と
       謝罪の言葉を述べ、
「近いうちに面会したい」   
          と伝えると、
「わかりました」と
      承諾したといいます。

○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「彼は今刑事裁判も
       民事裁判も終えて、
 社会的責任を今
 はたしているところだと思う。
「でもこれで終わりではなくて
 被害者側になってしまった経験
 加害者側になってしまった経験
 というのを社会の人に
 知ってもらうこと
   それが再発防止の鍵になる」
「もっとこうあれば自分は
 加害者にならなかったはずだと
  ある意味、
  言い訳みたいなことを言ってほしい
 その中に必ずヒントが含まれている」

○櫻井
「実際に対面するのでは
 かなり心のハードルも高いと
 思うんですけど、
 その点はいかがですか?」
○交通事故で妻・娘を亡くした
 松永 拓也さん(37)
「そう思います。
 たぶん対面したら
 私自身もフラッシュバック
       するでしょうし
 過失とはいえ
 妻と娘の命を奪った人なので
 正直複雑な気持ちには
       なると思います」
   だけれどもやはり最終目標、
 妻と娘の命を無駄にしない
 社会から事故を減らしたい
     という目標のためには
 彼に(感情を)ぶつけることはしない」
「真菜と莉子が
    遺体で自宅に帰ってきて、
 5日間葬儀まで猶予があって
 正直自分から
  命を絶とうとしたときもあった。
 ただそのときに、
  真菜と莉子に
     約束したことがあって
 二人の命を無駄にしないよって、
           決めて。
  私はその被害者側、加害者側と
       いう立場を乗り越えたい」

(藤井)
悲しみを完全に乗り越えることは
本当に難しいと思うんですけど、
悲しみとともに一件でも
交通事故をなくしたいという
思いをもってらっしゃるんですね。

(櫻井)
そうですね。
複雑な思い、
大きな葛藤を抱きつつも、
松永さんは、
「飯塚受刑者が語ることが
 事故の再発防止のヒントになる。
 社会の財産になる」
    とおっしゃっていました。

そう思える松永さんの
     心の強さを感じますし、
飯塚受刑者との面会が、
交通事故を
1件でも多く世界からなくす
その一歩になることを
        心から願います。

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