#242 ウクライナ「1兆円」 “無人機攻撃”影響は?
大きな衝撃が走っています。
「およそ1兆円の損害」
ウクライナは1日
ロシアの軍の飛行場を一斉に
無人機、ドローンで攻撃しました。

双方の主張を合わせると
攻撃は「5か所」とみられます。
中には、
ウクライナの首都キーウから
およそ6千キロも離れ、
日本の東京から
およそ2千キロと近い
「アムール州」の飛行場も
含まれているんです。
いったい何が起きたのか。
こうした中、
トルコのイスタンブールでは
ウクライナとロシアの
「直接協議」が行われました。
〇櫻井
今回の無人機攻撃を
専門家はどう見るのか?
国際安全保障が専門の
慶應義塾大学総合政策学部
鶴岡路人教授に伺いました。

〇櫻井
「この攻撃がロシアに与えた
インパクトについて先生は
どのように
捉えていらっしゃいますか?」
〇慶應義塾大学
鶴岡路人 教授
「今回の攻撃は
非常に大胆なものでしたし、
また成功したということだと思います」
「ウクライナ側には
2つ目的があったと思います」
「第1は政治的なもので、
ウクライナには
『ロシアのどこでも攻撃する能力』が
あるんだということを示したわけです」
「(2つ目は)軍事的にも非常に重要で、
今回破壊されたとみられる
ロシアの爆撃機というのは、
核兵器搭載可能だというところが
注目されることも多いんですけれども、
飛行機から撃って
地上の目標を狙うという
巡航ミサイルの発射母体として
使われていたんです」
〇櫻井
「ウクライナにとっては、
これから短期的に攻撃される
リスクを少なくしたという
意味合いですか?」

〇慶應義塾大学
鶴岡路人 教授
「(ロシア側はウクライナに)
どういう攻撃をされるか
分からないということですね。
この恐怖感というのは
ロシア側に相当植え付けられたと思います」
〇櫻井
「長く見た時に、
戦況への影響というのは
大きいんですか?」

〇慶應義塾大学
鶴岡路人 教授
「戦況全体への影響というのは
限定的なんだと思います。
一気にウクライナ有利になる
そういう状況ではないんだと思います」
〇櫻井
「(ウクライナとロシアの)
交渉への影響という面ではいかがですか」

〇慶応義塾大学
鶴岡路人 教授
「今回の攻撃というのは、
協議に直接何か影響を
及ぼそうと思って短期的に
考えられたものではないということ」
「しかも、ロシアにとっても
ウクライナにとっても
進展がないことが
ほぼ決まっているような協議」
「もう少し何かが変わると
停戦が実現するかもしれないと
そういう状況ではいま、
残念ながらないんですね」

〇櫻井
「それでも、ウクライナが
この攻撃に踏み切った理由というのは?」

〇慶応義塾大学
鶴岡路人 教授
「ロシアに対して
攻撃する手段を持っているぞ
ということをやはり
見せつけたかったっていうのは
大きいと思います。
と同時に、
実は、世界に対する
メッセージなんですね。
トランプ大統領に
ウクライナもカードを持っている、
このようなこと(無人機攻撃)が
できるんだと、
政治的なメッセージに
なるんだろうと思います」
〇櫻井
「私自身は、
この報道を目にした時に、
もし日本で同じようなことが
起こってしまったらと
想像すると恐ろしいな
と思ったんですれども
日本でこういったこと
(無人機による大規模攻撃)が
起こりえないとも言い切れない?」

〇慶応義塾大学
鶴岡路人 教授
「まさにそうです。
この戦争は、当事国
(ウクライナとロシア)の
国力に違いがありすぎるんですね。」
「正面からいくとなかなか勝てない。
代わりの手段ということで
今回ドローン(無人機)を
使ったということなんですね」
「日本は、こういった攻撃から
どうやって守るのかという話と同時に
(ウクライナのように)
最善の手段がないときに、
どのようにすれば
敵の能力を破壊するという
目的を達成することができるのか、
両方考えなければいけない
ということなんだと思います」
〇藤井
「本音の部分でも形だけでも、
和平に向かおうとしている
という姿勢を見せている中で
こういった攻撃が起きたんですけど
今回の直接協議で
何か情報は入ってきたんでしょうか?」

〇櫻井
「ロイター通信によりますと、
両国は25歳未満の捕虜などの交換で
合意した一方で、
ウクライナ側は
『ロシアが無条件停戦の考えを
拒否し続けている』と主張していて、
停戦や和平に向けた大きな
進展はなかったとみられています」