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#065 ワクチン最新情報

2020.11.23

世界中が期待するワクチンの話について
新たな情報が入ってきました。

「来月11日にも最初の接種が始まる」(現地時間22日)
アメリカ・トランプ政権で、ワクチン供給プロジェクト
「ワープスピード作戦」のトップ、スラウイ氏がこう発言したんです。

いったい、どういう話なのか?
その対象となっているのが…

アメリカ・ファイザー社などのワクチンです。
開発は最終段階に入っていて、
11月18日には4万3000人以上が参加した
臨床試験が完了したという発表がありました。
示された発症予防効果は、95%。

ファイザーは11月20日に、
FDA=食品医薬品局に対して緊急使用許可を申請。

12月10日にはFDAの委員会で審査が行われることになっていて、
そこで、有効性や安全性が確認されれば承認となるわけですが…

スラウイ氏は、「我々の計画では、承認から24時間以内に
ワクチンを届けることができる」
そして、最初の接種は早ければ12月11日にもと発言したんです。

ものすごいスピードで開発が進んだのはなぜでしょうか。

その理由は、このワクチンがこれまでと全く違う方法で作られた
「遺伝子型」のワクチンだからです。

ワクチンに詳しい、医薬基盤・健康・栄養研究所の保富康宏センター長に伺いました。

これまで、たとえばインフルエンザワクチンなどの「従来型」は、
「ウイルスそのもの」を使っています。
インフルエンザワクチンだとニワトリの卵を使ってウイルスを増やし…
そのウイルスを殺すことで感染力をなくしたものを、
私たちの体内に打つことで、「ウイルスが入ってきた」と
免疫細胞が反応し体を守る抗体を作ります。
これがウイルスをやっつける仕組みです。

これまで高い安全性が確認されたものが接種されてきましたが、
新たな開発には大規模な施設が必要など、非常に時間がかかります。

一方、今回の「遺伝子型」はRNAと呼ばれるウイルスの
「遺伝子」の一部を人工的に作り、まずは接種します。
すると、私たちの体の中では毒性のないウイルスの一部が作られます。

それに反応した免疫細胞がウイルスをやっつける抗体を作ってくれるという仕組みです。
RNAは非常に素早く大量に生産することができるため、
うまく作用すれば「パンデミック」に向いているとされているんです。

しかし、課題は安全性です。

この「遺伝子型」のワクチンはまだ世界で一度も「実用化」されたことがありません。
つまり、認可されれば新型コロナが初めてということになります。
ファイザー社は、4万人以上の臨床試験では
「重大な安全性の懸念は認められなかった」としていますが、
これから数千万人に打っていく中で重い副反応が出てこないか見守る必要があります。

日本での実用化はいつになるのでしょうか。

たとえ、アメリカで緊急承認されたとしても、
日本は日本で審査から承認まで行うことになります。

日本でのファイザーによる申請は、まだこれからで、厚生労働省は
審査は数日ではなく、ある程度の時間が必要だとしています。
年内の承認は難しく、いま想定されている来年2月、3月より
早めることが出来るかが注目されます。

1日も早く、日本で安全性の高いワクチンが接種できることが待たれますが、
まずは、今訪れている大きな波を「#マスクはワクチン」の精神で
乗り越えていきましょう。

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