#118 ドライブ・マイ・カー 快挙の「背景」は?
アカデミー賞
『ドライブ・マイ・カー』の快挙、
その背景を探ります。
アカデミー賞を取った人だけが
手にすることのできる
「オスカー像」に話しかけるように
「君がオスカーか」と感動を表現した濱口監督。
日本だけでなく、多くのアメリカ人に
受け入れられたその理由とは?
ドライブ・マイ・カーは、世界中ですでに
90を超える映画賞を受賞していて
「カンヌ国際映画祭」といった
大きな映画祭で受賞のほか
「全米批評家協会賞」
「ニューヨーク映画批評家協会賞」
「ロサンゼルス映画批評家協会賞」
と批評家の賞が目立ちます。
これは、いわば「映画のプロ中のプロ」たちから
非常に高い評価をされている、ということなんです。
では、どのあたりが高く評価されたのか。
原作は村上春樹さんの小説で、
映画では妻を亡くし喪失感を抱えながら
生きる主人公が、専属ドライバーと出会い
人生を再生していく物語。
濱口監督自身はアカデミー賞受賞の直後、
コロナで100万人近くが亡くなったアメリカで
「何か時代の変化とマッチするところが
あったのではないか」と語りました。
映画業界を40年以上取材する
アメリカのベテラン記者も
「コロナ禍で人々が
乗り越えなければならない孤立感、
喪失感が見事に描かれている」
「この映画はまさに今見るべき映画だ」
などと絶賛しています。
そして、今年のアカデミー賞で
忘れてはならないのが
ウクライナへのメッセージです。
会場の大きなスクリーンには
「現在ウクライナで侵略、紛争、偏見に
直面している人々への支援を表明するために、
黙祷を捧げたいと思います」
というメッセージが掲げられ、
会場全体が、静かな祈りに包まれました。
この直前には
ウクライナ出身の俳優ミラ・クニスさんが
「想像を絶する暗闇の中で
戦い続ける強さを持つ人々に、
畏敬の念を抱かずにはいられません」とスピーチ。
ウクライナをサポートするアイテムも目立ちました。
『アベンジャーズ』など
数々の映画に出演する名優
サミュエル・L・ジャクソンさんは
難民支援に賛同する水色のリボンを。
今回、最多11部門でノミネートされた
『パワー・オブ・ザ・ドック』の主演俳優、
ベネディクト・カンバーバッチさんの胸には
ウクライナカラーのバッジが。
そして、さきほどのメッセージの続きですが
「映画は紛争の時代に
私たちの人間性を表現する重要な手段」として、
「#STANDWITHUKRAINE」
と支援を呼びかけました。
一刻も早く、必要な人に支援が届くように
映画界もウクライナへの連帯をしめしています。