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#119 市民虐殺か…戦争犯罪どう捜査?

2022.04.04

キーウ近郊で市民とみられる410人の遺体が見つかったと報じられている問題。

ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカメディアのインタビュー対し
「これはジェノサイド=集団虐殺だ」として非難しました。
一方、ロシア国防省は
「映像はウクライナ側によって作られたものだ」として虐殺行為を否定しています。

実際、何が起きたのか…?
それを捜査する国際機関のひとつが「ICC=国際刑事裁判所」です。
2003年から活動を開始し
「集団殺害犯罪=ジェノサイド」や「戦争犯罪」などについて捜査しています。

実際に犯罪に関わった個人を捜査して
逮捕状を出したり裁判にかけたりする役割を担います。

たとえばこれまでにはアフリカ・スーダンで
30万人以上が犠牲となった「ダルフール紛争」では
当時の大統領に逮捕状を出したことも。

そもそも「戦争犯罪」とは民間人や
病院、民家など軍事と関係ない民間施設を故意に攻撃することなどがあたります。

ICCの本部はオランダのハーグにありますが
すでに先月上旬、ウクライナに入り「戦争犯罪」の可能性について捜査を開始しています。

国際法が専門の浅田教授によりますと
ICCの検察局のなかに捜査部という部署があり
捜査部員は国籍に偏りが出ないよう主に締約国の国民から採用。
多くは元検事など基本的に刑事裁判の経験者や
その分野の専門家で構成されているということです。

日本の刑事事件の捜査と同じように
現地の人の証言を聞いたり証拠を集めたりして
予審裁判部に逮捕状を請求できるか判断するといいます。

ICCで裁判官を務めた経験もある尾崎特任教授は
「ロシア軍の指揮官が対象だが、犯罪への関与があれば
プーチン大統領を含む政府上層部の訴追も視野に入れるのがICCの任務」と話しています。

課題もあります。
おふたりとも共通していたのは
捜査では当然、ロシア側についても調べる必要がありますが
協力が得られるかは難しく明らかな状況証拠を重ねていくしかないといいます。

また戦況にも左右されますが結論までには時間がかかるのではないかということです。

それでもICCが第三者として客観的に捜査し
犯罪事実の存在を明らかにすることが重要だと話しています。

 

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