#178 100年前にもフェイク画像が
100年前の9月1日に起きた関東大震災。
その直後を撮影したとされるのが、この写真。

火災旋風でおよそ3万8000人が亡くなった
墨田区の「被服廠跡」の震災直後の様子とされ、
人がひしめき合い、空には、火災で煙が立ち上っているように見えます。
ただ、これはフェイクなんです。
当時、被害を伝える絵はがきとしても流通していたこの写真、
実は「加工」されていて、「撮影場所」も違っていたんです。

もう1枚見てもらいたいのが、この写真。
震災直後、今の「皇居」に人々が避難してきた時の様子なんですが、
この部分を先ほどの写真と並べてみますと
右側の写真には、空に煙がありますよね。

そして、たとえば赤で囲ったこの箇所、女性が立っているんですが、
拡大してみると、服装や立ち方もまったく一緒ですよね。
つまり「皇居」で撮影されていたものの一部を、「被服廠跡」として
さらに煙も加えた「フェイク」だとわかります。

100年前の「フェイク画像」はほかにも。
日比谷の交差点で撮影されたこちらの写真。
空を覆うように煙が立ち上っていますが、

元の写真と比べると煙の量がまったく違います。
この「フェイク画像」誰がやったのでしょうか。

「フェイク画像」だと気づいた写真編集者の沼田清さんは、
「出版社など一部メディアによって
ねつ造された可能性が高い」とみています。
その理由は2つ。
「恐怖心をあおるため」そして「ないものねだり」。
震災の被害を「もっと派手に激しく見せたい」
と考えて煙を足したのではないか。
また多くの人が亡くなった被服廠跡は、
当時の新聞が「遺体が写った写真」を掲載し
発禁処分を受けていました。
そのなかで、「なんとか危機感を示せる写真がないか」と求めた結果、
ねつ造に走ったのではないか、と指摘します。
災害のときは不安感から
「フェイク画像」は特に広がりやすいので、注意が必要です。
では、どう気をつけるべきか。

こちら、8月28日都内の中学校で行われた訓練。
関東大震災から100年の節目に
改めて災害時のデマやフェイクにだまされないためのものです。

情報を見極めるためのキーワードを学んだんですが…
それが「だいふく」。
「だ」誰が言っているのか?
「い」いつ言ったのか?
「ふく」複数の情報を確かめたのか?
これを意識してほしいということです。
災害の時こそ
デマやフェイクを見極め、拡散しないことが大事です。
また同時に、いつ起きてもおかしくない
災害への備えもぜひしてください。