#164 “首相襲撃” 警備に課題
今回、警護に当たった
警察官が使った「防弾カバン」。
どのようなものなのか、
実際の者とは少し大きさは違いますが
特別にお借りしてきました。
一気に広げると
1枚の長い盾のようになります。
重さは1.5キロと
そう重くはないんですが、
叩いてみると、しっかり堅いです。
これで銃弾や刃物、
爆発で飛んだ破片を防ぐことができ、
実際に警察でも使われているものなんです。
少し上に掲げて
警護対象者と重なるようにして
特に急所が多い上半身を守りながら
安全な場所まで移動していくんです。
持って動いても
重さや扱いにくさは感じません。

おとといの事件現場では
筒状の爆発物が投げ込まれた
およそ2秒後には
警察官の一人がカバン状の盾を広げ
岸田首相に駆け寄っていました。
こうして岸田首相は避難しましたが
爆発物が持ち込まれ
一般人にけが人もでた今回の事件。
改めて“選挙中”の警備の難しさが
浮き彫りとなりました。

ひとつ鍵となったのは
演説が行われた場所です。
ある自民党関係者は
今回の漁港は地元県連が
「近い距離で漁業関係者と握手などをして
票を固めるため選んだ」と話しています。
一方、警備関係者からは
「できれば今回も聴衆全員に
金属探知機などの検査をしたかった」
という声が出ています。
ただ、今回はこの検査について
自民党関係者は
「漁港なら支持者しか集まらず、
厳しい検査は必要ない」
という判断があったと説明しています。

たとえばアメリカの大統領選挙の演説では
手荷物検査や警察犬によるチェックなど
事前に厳しい検査を受けます。
また、集まる人はもともとの支持者が中心で
警備がしやすいという特徴もあります。

元警視庁の松丸俊彦さんは、
安倍元首相の事件後は
手荷物検査や声かけなど強化していたはずなので
今回もやるべきだったのではと指摘しています。
およそ1か月後には
G7広島サミットを控えていますが、
警備態勢が万全か
再点検が求められています。