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#082 遺伝子配列で「重症化リスク2倍」

2021.05.17

こちら、ノーベル賞受賞者の
山中伸弥教授が2020年、




「どうして日本は欧米より
 感染者や死亡者の数が少ないのか」
その理由を“ファクターX”と呼んで
話題となったのを
みなさんも覚えているかと思います。




“ファクターX”はあるのか、ないのか?
“遺伝子”について研究を進めてきた
慶応大学などのチーム。
従来型のコロナに感染して重症化した
65歳未満の440人と
健康な2377人を比較して調べた結果が
きょう明らかになりました。




わかったことのひとつが「血液型による違い」です。
重症化リスクが最も低かったのはO型で
そのO型よりも
A型とB型は、およそ1.2倍
AB型はおよそ1.6倍
重症化リスクが高いことがわかったということです。

これはあくまで統計上の結果ですし
重症化するかどうかはもちろん
血液型だけで決まるものではありません。
また「感染しやすいか」については
血液型による統計学的な差は
なかったということです。




そして次が本題「遺伝子による違い」です。
ある遺伝子配列のタイプを持っている人は
持っていない人に比べ
「およそ2倍、重症になりやすい」
とみられることがわかったんです。

具体的に説明しますと
まず体に入ったウイルスと戦うのに重要な役割を担う
「DOCK2」と呼ばれる遺伝子があります。
その近くにある化学物質。
日本人の多くはそれが「G」なんですが
およそ2割、5人1人は「A」になっているといいます。

これが「DOCK2」の機能に影響していて
「G」の人に比べて「A」の人は2倍
重症になりやすかったということなんです。
これは世界初の発見だといいます。




この遺伝子配列が“ファクターX”の正体か
というとそうともいえないんです。
研究チームによると
重症化リスクは遺伝子だけで決まるわけではなく
年齢や基礎疾患など様々な要因があるといいます。
また「現時点で遺伝子的に日本人が重症化しにくい
という“ファクターX”はないと考えている」
と話しています。




ただ、チームの責任者は
この研究が治療薬の開発につながるのではないか
と考えています。

もし「G」と「A」の違いが
重症化の要因だとすると
薬で「DOCK2」の働きを
強めたり弱めたりして
重症化を防ぐ効果が期待できるのではないか
ということなんです。
研究チームは
今後も解明を続けていくということです。

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