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#201 被災した名店~能登の食文化復活へ

2024.03.18

能登の食材の魅力を
最大限に引き出した料理の数々。

石川県七尾市にある和食の名店、
「一本杉 川嶋」。

昭和の初期に建てられ
国の文化財にも登録された
「築92年」の建物で
     営業していましたが…

元日の地震で、外壁ははがれ落ち
建物自体もゆがむなど
大きなダメージを受けました。

地元・七尾市出身で4年前に
このお店を開いた・川嶋亨さん。

3月19日、世界的なグルメガイド
『ゴ・エ・ミヨ』の2024年版で、
日本の料理界を
   牽引することが期待される
「明日のグランシェフ賞」を
        受賞しました。

川嶋さん
「営業もいつできるか見通しは
 立っていません」
「きょうはここの会場に来るときに、
 七尾は雪が降っていました。
 その中に桜が咲いていたんですね。
 歩みを止めなければ必ず春は来る
 と信じて頑張っていきたいと思います」

地震の前はなかなか
「予約の取れない店」
   として知られていましたが、
大切にしていた器やグラス、
   調理道具も壊れてしまい、
被災から2か月半が過ぎた今も
      断水が続いています。
いつ、お店を再開できるか
まったく見通せないといいます。

この現実に愕然とするしかなかった
    という川嶋さんですが、
実は、地震の翌日にチームを立ち上げ、
1月3日から「炊き出し」の
      活動を始めました。

地元の料理人たちが集まり
約2週間にわたって
温かい料理を避難所に届けました。
そこにはこんな思いが。

川嶋さん
「僕は料理人としてできることが料理しかないし」
「勝手に体が動いていました」

炊き出しの料理に付けた
    メニューなどの紙には
避難所の人たちから
「おなかも心も
 まんぞく まんぞく」
「気持ちを明るく持って
 がんばります!」
といった声が返ってきて、
交換日記のようでいつも
ワクワクしていたということです。

こうして
「地域の人々から
 さらに厚い信頼を得たこと」も
評価されました。

お店は、再建までに
かなりの時間とお金がかかる見通しです。

その間は、営業もできず
収入も絶たれることになりますが、
「能登を世界一の美食の街にしたい」
という思いで、いまは
クラウドファンディングを募り
再建・復活へ向けて歩み出しています。

能登と言えば
「いしる鍋」や「ぶり大根」など
「豊かな食文化」が知られています。

その食文化を象徴する1つが
1200年続く「輪島朝市」。
大規模な火災で壊滅的な
被害を受け再開の見通しは
       立っていません。

3月23日(土)からは、
復活への第一歩として
「出張朝市」が始まります。
金沢市の金石港に
朝市を象徴する
   オレンジ色のテントが
30張りほど並ぶ予定です。

やがては輪島に帰る日を夢見ての
「出張朝市」ということで、
「輪島朝市を応援する会」では、
復興のための支援金も集めていて
3月19日までに
約1800万円の寄付があったそうです。

能登の食文化の復興も
    応援していきたいです。

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