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#167 「核なき世界」実現へ 理想と現実

2023.05.22

ゼレンスキー大統領の来日もあり
「核なき世界」が
より大きなテーマとなった
G7広島サミット。

G7首脳ら、そして
ゼレンスキー大統領が訪れた
原爆資料館は、22日朝から
長蛇の列となりました。

来館者の増加に対応しようと
7月31日までは
開館が1時間延長されます。

では、今回のサミットの成果を
被爆者のみなさんは、
どう見つめたのでしょうか?

○13歳の時に被爆
 サーロー節子さん(91)
「広島まで来て、これだけしか
 書けないのかと思うと、
 胸がつぶれるような思いが
 しました」
「大変な失敗だったと思う」

○8歳の時に被爆
 森重昭さん(86)
「このサミットは
 一応成功になったんじゃないか
 と思いました」
「世界のリーダーとはいえども、
 そんなに簡単にできる問題では
 ありません」

○8歳の時に被爆
 首脳らに被爆当時を証言
 小倉桂子さん(85)
「成功か成功でないかは言えません。
 分からないもん。
 私は1人1人の心に
 届く話をしたと思います」




また、先日広島で
取材させていただいた
被爆者の山下拓治さん(93)は、
「核兵器廃絶と表向きでは言うが、
 本音は違うのではないか。
 各国の首脳たちは、
 自国のための欲を
 捨てないといけない」と、
厳しい目を向けていました。

不満はどこにあるのでしょうか?



今回、G7首脳が
発信したメッセージも、
それを批判する人たちも、
「核なき世界」を実現したい
という「理想」は同じです。

ただ、核兵器の役割を否定せず
核兵器を持つことで
侵略や戦争を防ぐ
「核抑止」の考え方も重視する
G7に対して

一刻も早く「核廃絶」すべきと
訴える人たちの思いとの間には
開きがあります。

もう少し詳しく見てみると。



今回、G7首脳が
そろって原爆資料館を訪問し、
「広島ビジョン」が
まとめられました。

これは、核兵器を減らしていく
「核軍縮」に焦点を当てた
G7首脳としては初の文書で、

・核兵器を「使わない」
 =不使用の継続
・核兵器を「広げない」
 =不拡散
・そして、核戦力の「透明化」
 などを求めています

国際安全保障に詳しい
慶応大学の鶴岡路人准教授は
「現実にロシアが核の威嚇を行い、
 中国なども核を手放さない中で
 核廃絶は実現しない。
 まずは、核兵器の使用を
 繰り返してはいけない。
『核兵器が使われない世界』
 が必要だという
 メッセージが強調された」
 それをG7の首脳みんなで
 承認したことが重要だ」と
と評価しています。




一方で、このビジョンに
「核廃絶」という言葉が
出てこないことや、
90以上の国や地域が署名し、
発効している国連の
「核兵器禁止条約」に
触れていないことを
批判する人たちもいます。

核廃絶を目指すNGO
「ICAN」の川崎哲さんは、
「今本当に核の危機が
 高まっているときに
 新しい一歩とは
 とても言えない」
「核兵器廃絶の約束という
 意味では非常に不十分な内容」で、
とても失望しているといいます。

今回「核なき世界」に向けて、
強いメッセージになったと
評価する声もありますが、
実際に核が減る方向へ
どう具体的に踏み出すのか、
きちんと見ていきたいと思います。

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