• プライチ

#124 NATO加盟に「3つの壁」

2022.05.16

フィンランドとスウェーデンがNATO加盟申請を正式表明。
この先、どうなっていくのでしょうか?

まず加盟が認められるには
こちら、すでに加盟している緑色に塗られた30か国、
すべてが承認する必要があります。

では速やかに加盟できるのか?
そこには3つの壁があります。

①すべての国が賛成するのか?
②加盟までどのくらい時間がかかるのか?
③その間にロシアから攻撃を受けたらどうするのか?

まず、「すべての国が賛成するのか?」ということでいえば、
難色を示しているのが、トルコです。
「トルコ政府が敵視しているクルド人組織を、
 フィンランドとスウェーデンが支援している」と主張しているためです。
ただ、NATOの事務総長は
「トルコが加盟を阻止する意図がないことを明言した」と述べていて、
トルコの対応が注目されます。

次に、加盟までに時間がかかるという問題。
比較的最近加盟したモンテネグロでおよそ1年半、
北マケドニアで1年8か月かかっています。

先ほど説明したようにすべての加盟国が承認するのを
待たなければならないため、通常はこれくらい時間がかかるんですが、
NATOの事務総長は今回、「スムーズかつ迅速に行われるだろう」と話しています。

最後に、加盟までに攻撃を受けることはないのでしょうか?
表明から正式に認められるまでの期間を
「グレーゾーン」と呼んでいるそうなんですが、当然この間は緊張が高まります。
そのため手を打ったのが、イギリス。
2つの国がNATOに加盟する前であっても軍隊が攻撃にさらされた場合は
イギリスが軍事支援する協定に合意したと明らかにしています。

ウクライナのときとは違うNATOの対応。
ロシアの外交・安全保障政策に詳しい畔蒜さんに聞いたところ、
NATO側の事情とロシア側の事情を教えてくれました。

まずNATOとしては
「北欧2か国は政治や経済の水準がほかの加盟国と同じで
 なおかつNATOと軍事面でも協力関係を続けてきていたため、
『手を挙げれば数週間から数か月で入れる』ステータスだった」
その点がウクライナと違うんだそうです。

一方、
「ロシアからするとウクライナは歴史的にロシアの一部という思いが強く、
北欧の2か国とは違う。
ウクライナだから軍事侵攻したのであって
2か国がNATO入りを表明してもおそらくは手を出すことはないだろう」
と話していました。
 
ロシアのウクライナ侵攻を引き金に、
両国に限らずいま世界の勢力地図が変わろうとしています。

 

こちらの記事もオススメ!