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#059 ”任命拒否”に揺れる「日本学術会議」とは

2020.10.05

菅総理大臣が5日夕方、取材に応じました。
テーマの1つがこちら…「日本学術会議」です。
新たなメンバーに研究者6人を任命しなかった理由について
菅総理はこう語りました。

○菅首相
「推薦された方々をそのまま任命をする
 この責任というのはこれ
内閣総理大臣にあるわけでありますから
 そこについて前例を踏襲してよいのかこれは考えてきました。
ですから総合的・俯瞰的活動を確保する観点から
 今回の任命についても判断をしたということです」

そもそも日本学術会議とは、どのような組織なのでしょうか。
設立されたのは戦後間もない1949年。
科学者が太平洋戦争に協力したり動員されたりした反省をふまえ
戦争を目的とする研究は行わない姿勢を鮮明にしてきました。
目的は政府から独立した立場で政策提言を行うこと。

メンバーはおよそ87万人の科学者の代表210人で構成され
"学者の国会"とも呼ばれています。
任期は6年。
3年ごとに半数が任命され
現在の会長はノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章さんが務めています。

先月の1か月間だけで教育のデジタル化や認知症など
25もの提言を発表しています。

ただ独立した組織ですから
時には政府の方針に反する提言もしています。

たとえば8年前、いわゆる「核のゴミ」について政府は
以下に数万年以上、埋めて処分するとしていましたが
学術会議は「科学的にみてリスクが高すぎる」などとして
「白紙に戻す覚悟で見直すべき」と提言しました。

今回、菅総理が問題視したのは“メンバーの選び方”でした。
これは設立の前の年の写真です。
投票でメンバーを選んでいましたが
1984年からは投票ではなく学会などの推薦で決める方法に。
2005年からは現会員などの推薦で選ぶ方法に変わっています。

この点について菅総理は今日のインタビューで
「会員の人選は、事実上、会員が自分の後任を
 指名することも可能な仕組みとなっている」として
 前例を踏襲してよいのかと話しています。



また任命されなかった6人は安全保障関連法や 
いわゆる共謀罪の導入などに反対していましたが
菅総理は「全く関係ない」と話しました。
ただ「個別の人事についてコメントは控えたい」として
理由については明らかにしませんでした。

一方で野党側は任命しなかった理由の説明を求めていて
議論は国会の場でも行われそうです。

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