#151 留置場で死亡相次ぐ
今夜のプライチは、
「留置場で死亡…なぜ相次ぐ?」

…というのも、12月だけで、
警察に逮捕されて留置場で勾留中だった容疑者が
亡くなるケースが2件、愛知と大阪で相次ぎました。

まず大阪のケースでは男性が
「熱がある、病院に行きたい」などと訴えましたが、
男性に熱がなかったことなどから病院に連れて行かず。
また男性は、壁に頭を打つけたり
取調中に「ボールペンで胸を刺して死ぬ」
などと発言したりしていたということです。
おととい呼びかけに応じなくなり
搬送先の病院で死亡が確認されました。

大阪、愛知いずれも共通しているのが、
亡くなった男性は「保護室」と呼ばれる場所で
監視されていたこと。
「保護室」は病気や精神のさく乱などがみられる
容疑者に対応する場所です。
つまり他の人よりも
より注意してみる必要がある人でした。
実際、保護室では、ベルト型の手錠で体を拘束。
※大阪府警は死因を不詳としたうえで、
身体の拘束との直接の因果関係はないとの見解を示しました。
監視カメラまたは対面で
24時間監視していたということです。

ところが、愛知県のケースでは
署員が男性を蹴る様子がカメラに映っていたり、
男性に糖尿病の持病があることを知りながら
医師の診察を受けさせることを
忘れていたりしたということです。
男性の父親は取材に対して
「はっきり言って(息子は)警察に殺されたと思っている」と
憤りを口にしました。

実は、警察庁は先週、
全国の警察に留置場での対応について、
緊急点検を行うよう指示をしたばかりでした。
というのも、今年9月には、大阪府警の留置場で、
養子縁組していた女性を殺害したなどとして
逮捕された容疑者が自殺。
自殺に使った破れたTシャツを保管していた
ロッカーの点検を怠ったうえ、
点検したと嘘の記録を作るなど
ずさんな対応が明らかになったからです。
大阪府警はきょう臨時会議を開き
「巡回などの基本が不徹底で
(留置場での自殺は)起こるべくして起きた」として
基本動作の徹底などを求めました。

刑法が専門で留置場に詳しい
諸澤英道さんに聞きました。
「留置場を担当する署員は2~3年で異動するケースが多く
引き継ぎが不十分な可能性がある。
だとすると容疑者の体調に変化があっても
経験がないので気づけないのではないか」と指摘しています。
また、
「留置場での対応について統一的なルールや
教育システムが整備されているようには見えないので
対応をマニュアル化して引き継いでいく必要がある」
「命を守るというのはもちろんのこと、
真相究明にも支障をきたす大きな問題」と話しています。