2ヶ月の間、止まっていた造船計画が再び動き出した。
シンタローを中心に、舟底を組む工程に取り掛かっていたが、そこに城島が加入し、作業はスピードアップした。
まず、舟の中で最重量、約300kgの部材を人力巻き上げ装置で持ち上げ、舟の側面の板の上にピッタリ収めた。
舟底は全部で5つのパーツで構成されていて、残りのカドと呼ばれる両端の部材と、船首と船尾も同様に組み立てた。
水の侵入を許してはいけない舟底、ミリ単位の隙間をなくすために用いたのが、船大工の技術・すり合わせだった。
歯を交互に曲げたノコギリを隙間に入れてすれば、接合面が傷付いて毛羽立ち、板同士を密着させることができた。
これにフンドウ約100個、竹釘約200本を1か月半かけて打ち込み、舟底の固定が完了した。
一方、シンタローは実りを迎えた大麦に合う旬の食材探し。
海では背負子を背負って潜水し、命懸けで採ったフトモズク。
山では、標高70mの場所でビワの新たな群生地、麓では高級食材のアラゲキクラゲも発見した。
これらの食材は、大麦粉を使った天ぷらにして舌鼓を打った。 |