これまでのDASH島

よみがえった一本の柑橘2017/4/16

春の気配を感じたアラフィフ2人は、作業の手を休め、森の中へ。
城島「満開やんか」
達也「見事!桜がびっしり」
倉庫跡で毎年この時期、彩りを迎える
江戸時代に大陸から伝わったとされるシナミザクラ。
城島「これは花見したいね」
それは奈良時代に始まった、貴族の乙な春の遊び。
江戸時代には、桜を見ながら飲んでは食べての宴となった。
そこで、DASH島の独身貴族も花見の準備に。

城島「緑はヨモギを使おう」
というのも、花見には三色の団子が欠かせない。
安土桃山時代に豊臣秀吉が考案したとも言われ、三つの色で、新緑の上で酒を飲みながら、桜を愛でる様を表している。

一般的には、白い団子に、赤は紫蘇、緑はヨモギやほうれん草で色を着つけるのだが、無人島ではヨモギの新緑で緑を。そして、赤は、
城島「これ(実)の赤いのを」
浜に自生する、中南米原産のウチワサボテンで。

ウチワサボテンは夏に咲いた花が落ち、そのあとに出来た実が秋から春にかけて赤く熟す。
その中でも赤く熟して落ちている実を。
達也「真っ赤だね。これ食べられるの?」
それは、以前、実証済み。
舐めても腹を壊さなかった。
メキシコやスペインではフルーツとして栽培している。

色の食材が揃ったところで三色団子作り。
通常、団子は上新粉などで作るが、無人島では以前、自生するコオニユリの根から作った片栗粉で代用。
根から取り出したデンプンの粉を、水に溶いて火にかければ、徐々に固まる。

それを温かいうちに手で丸めて、
城島「ほんまに団子みたい」
緑はそこに、湯がいて刻んだヨモギを。
城島「葉を練り込んだほうが色がよく出てええね」
そして、赤はサボテンの果汁で。

鍋に片栗団子を入れると、
達也「うわー、これ一番色出た」
そして、出来上がった三色団子は、
達也「串に刺す順番ないの?」
本来は上から赤・白・緑と順番が決まっている。

“新緑の上で、白酒を飲みながら、桜を見上げる"
という意味があるが、そんなことは露知らず、上から緑・白・赤の順に刺し、それを持って、花見会場となる倉庫跡の屋上へ。

しかし、この日は達也と城島の2人だけ。
若干、盛り上がりに欠けるので、
城島「昔は着物を飾って花見したらしい」
江戸の女性たちは、華やかな着物で花見に出かけ、それを掛けて場所取りや幕に使ったという。
そこで、無人島では集落跡で見つけた服で。

さらに、賑やかしでメンバーに見立てたマネキンも配置して、
達也「だいぶ盛り上がってきたね」
まずは、素材の味がわかる白団子から。

達也「かってえ…」
城島「ただの…片栗粉の塊や」
では、ヨモギの緑は。
城島「カピカピや。無味無臭」
最後に、サボテンの赤は、
城島「やっぱり、団子はちゃんとした餅がええね」

4年前の夏、まだ、舟屋も完成する前のこと。
それは、島の北側の斜面で、
松岡「柑橘系の葉っぱ(木)だ」
農業歴13年の目は、見逃さなかった。しかも、
太一「すだちみたいな実が落ちてる」

よく見ると、その木には同じ実がいくつも生っており、
松岡「畑だったんじゃないかな」
というのも、この島にはには段々畑のような石垣や、収穫に使ったと思しき箱。
さらに、選別機らしきものを見つけていた。

つまり、40年ほど前に島を去った住人たちは、斜面を柑橘類の畑にし、生計を立てていた、その名残と考えられる。
それが今は、無人島の斜面に1本だけ。
太一「木自体が弱いんだね。手入れが必要なのかな」

確かに、今までに見てきた柑橘類やミカン畑の周りには、太陽の光を遮るものがなく、たっぷりと光合成を行えていた。
それが、荒れ放題の無人島では、周りには木々が生い茂り、日当りを遮るように覆い被さっている。

さらに、根元にも黒く太いツルが、幹を締め付ける様に絡み付いている。
40年で柑橘畑の環境は大きく変わってしまった。
このままでは、甘く大きな実が育たないだけでなく、木が枯れてしまう恐れも。

太一「環境をきれいにしてあげればまた元気になるよね」
松岡「そのお礼にお恵みくれるかもしれないしね」
そこで、40年前の味を甦らせる仕事が始まった。
太一「まずは日を柑橘の木に与えてあげないと」
柑橘類に必要なのは、日の光。

柑橘類は本来日の光を多く浴びさせるため、海沿いの段々畑で栽培する。
直射日光だけでなく、海と石垣から3つの太陽が必要とされ、日照が不足すると、実の数は減り、糖度も落ちてしまう。
しかし、急な斜面な上に、日光遮る枝葉まで8m。
到底、手は届かない。

せめて、日が射し込む南側、斜面の上だけでも。しかし、
太一「ツルにやられちゃってるし」
柑橘の木は、完全にツル性植物の葉で覆われた状態。
これでは、光合成もままならず、実に十分な栄養を送ることができない。

太一「(この一帯)全部ツルだらけ」
ツルは高さ15mの杉の木を、覆い尽くすほどの繁殖力。
太一「何ていう植物なんだ!?」
調べてみると、マメ科のツル性植物、クズの葉。
繁殖力が強く、日に30cmほど木に巻き付きながら生長。

太くなると、締めるように木の幹に食い込み、枯らしてしまうことも。
拡大の勢いも凄まじく、中国では村全体を覆ってしまったほど。
太一「木に巻き付いてるツル切った方がいいね」
唯一の柑橘の木に絡みつくクズのツルを根元から。

切り取った根は、太さ10cm、長さ2m分で、およそ4kg。
さらに、太くなる前のツルも取り除き、
太一「少しスッキリしたんじゃない?」
クズが外れ、根元が身軽になった柑橘は、縛られることなく、すくすくと育っていける。

さらに、クズが大きな葉を拡げた、その下は真っ暗。
太一「柑橘の葉は濃い緑色だからね」
柑橘の実と枝葉は傷つけぬよう、クズの葉だけを取り除く。
そして、1時間かけて、ようやく南側のクズを取り切り、
太一「ここだけ、だいぶ光が差し込んでる」

そして、ツルの駆除から4か月後。
日の光を浴び、柑橘の実は少しずつ膨らみ、
太一「そろそろ収穫の時期じゃないかな?」
真冬、木々の葉は落ち、さらに日当り良く。
そのためか、程よく色づいた実がチラホラと。

しかし、気になるのは、
太一「柑橘系ってもうちょい(たくさん)実が生るよね」
確かに、手入れの行き届いた畑の木は、1本に少なくとも50個以上の実ができるはず。
日当りを良くしただけの無人島では、そんな数に到底及ばない。

では、実の状態はどうか。
太一「んー、硬いなあ」
収穫どきだが、まだ若いのか。
とはいえ、手塩にかけた実を傷つけたくはない。
こんな時は、広島で学んだ収穫の仕方で。

同じ柑橘類のレモンは、傷つくとそこから腐っていく。
そこで、枝の遠い位置から二段階に分けて切り取る。
こうすることで、ハサミが実に当たりにくい。
同じ要領で無人島の柑橘も。
と、少し引っ張っただけで、実がヘタから取れてしまった。

ヘタが取れやすいのは、完熟もしくは熟れすぎの合図。
ならば、その味を確かめねば。しかし、
長瀬「めっちゃ酸っぱい」
太一「やっぱり野生化してるのかな」
水分を蓄え、みずみずしいが、甘さが足りない。

太一「土が良くないから土を何とかすれば」
確かに、ヘタごと取れたのは、枝や木自体が弱っている時にも起こる現象。
つまり、長年手入れされずに痩せ細った土の栄養不足が原因か。
ならば、福島DASH村以来、13年ぶりの土作りを無人島で。

土次第で作物の出来と味が変わる。
目指すのは、DASH村のような栄養豊富で軟らかい土。
そこで、森の中にあり余る落ち葉を集めて、
城島「これ(枯れ葉)使えるやん、腐葉土に」
それは、福島DASH村の畑に初めに撒いた、天然の肥料。

腐葉土は落ち葉などが時間をかけて腐って分解したもの。
栄養豊富で、作物の生長を助けるだけでなく、土の状態も良くしてくれる。
軟らかく、水分の少ない広葉樹の葉が適しているということで、城島も老眼こらして、腐葉土の材料集め。

城島「あ、カタツムリの殻。これもカルシウム代わりに使えるやん」
カタツムリの殻は、体から染み出した石灰でできたもの。
砕いて土に撒けば、根を強くする効果が期待できる。
選り分けに時間はかかるが、落ち葉なら無人島にいくらでも。
そのころ達也と太一も、土の中から無人島の助っ人を探していた。

太一「ミミズに糞をしてもらおう」
それは、福島DASH村の腐葉土にも。
分解が進んだ部分を崩してみると、そこにはミミズ。
彼らは土を食べ、水分や養分、有用なバクテリアを含んだ糞をすることで、良い土に変えてくれる。
そんなミミズの力を無人島でも!

達也・太一「デカい!!」
軽くスコップを入れただけで、15cm級の巨大なミミズが。
調べてみると“ノラクラミミズ"。
大型の種類だが、大人の目印・環帯(かんたい)がないので、このサイズでも、まだ子どもの可能性も。

こうして、腐葉土の材料が集まり、11年前、福島DASH村では、四角く組んだ木枠に落ち葉を入れ、7段・4mほどの塊を踏み固め、1年近くかけて熟成させた。
これをDASH島では、森の中で見つけた、穴で。
太一「なにこれ。井戸?貯蔵庫かな?」

使い途は定かではないが、木枠と同じ四角い穴。
石積みでどんなに落ち葉を踏み固めても、崩れることない丈夫な造り。
しかも、その中の土を掘ってみると、
城島「フカフカ!全部、腐葉土やん」

では、この中にひとまず1段、土嚢袋20個分の落ち葉を。
太一「ミミズも入れようよ」
ミミズはオスとメスが揃わずとも、どんどん増えて、落ち葉を食べてくれる。
しかし、このままでは熟成に1年近くかかってしまう。

そこで、砂浜上の森で、別の生き物の力を借りる。
城島「キノコ類がこの辺に。ジメジメした場所やからね」
秋になれば、倒木にはヒラタケや、梅雨には、落ち葉の下からキサケツバタケ、さらにオオゴムタケと、DASH島いち、キノコがとれる場所。

キノコは、糸状の菌、菌糸が集まったもの。
落ち葉や倒木をエサにして生長する。
つまり、腐葉土に入れれば、ミミズと同じく葉を分解してくれる。
菌糸は、落ち葉の下など湿った場所に。
城島「ここら辺の白いのがそうや」

そして、バケツ一杯に集めた菌糸を穴の腐葉土に混ぜる。
達也「次は、葉っぱ(落ち葉)」
福島DASH村では、木枠に入れた落ち葉を踏み固めると、保温・保湿の効果で、菌糸の活動もいっそう活発になる。
11年振りの感触で、落ち葉を踏み固めれば、葉は砕け、ミミズと菌糸も仕事がしやすい。

その2か月後。
松岡「発酵は進んでるね」
確かに、僅かにだが葉は沈んでいて、分解が進んだ証。
城島「混ぜようか」
早く熟成する下の層と入れ替えれば、さらにムラなく。と、
松岡「あ、カブトムシの幼虫がいた」

こいつもミミズ同様、腐葉土を食べては分解して排出してくれる。
松岡「(クワで)傷つけたら危ないから手で混ぜよう」
そして、幼虫のおかげか、腐葉土の分解は進み、熟成に伴い熱を持ち、真冬には煙が立つほど。
さらに夏の猛暑も、熟成を後押しした。

太一「柔らかい、フカフカ。木の下に撒くだけでも違うよ」
出来たての腐葉土を持ち、柑橘の元へ。
まずは、木の根を掘り出す。
急な斜面に残る柑橘の木は、広い範囲に根を張り、体を支えている。

腐葉土を根の近くに撒けば、養分は雨ですぐに吸収される。
根に直接、腐葉土を撒き、1本に30分、手を休める暇はなかった。
根を掘り、腐葉土を撒き、足りなくなれば、一袋10kgを手に往復する。

そして、ようやく腐葉土100kgを撒き終えた。
その頃、浜では砂利を掘っていた。
城島「草木灰を作るのには、丁度いい穴」
それは、福島DASH村でも作っていた。

松や杉の小枝に燃やしたワラを載せ、炎を上げずに、燃え残ったのが草木灰。
古くから、落ち葉や枯れ草で作られる肥料で、作物の養分になるだけでなく、土を活性化させ、表面に撒けば虫除けの効果も期待できる。

材料は暖かい地域の浜に自生する、竹の仲間・ダンチクで。
落ちてるものだけでなく、枯れかけも集める。
草木灰の成分は、材料によって大きく変わるというが、無人島では、量を重視で。
そして、ダンチク10kgを不完全燃焼の状態に。

しかし、どんどん炎の勢いが増し、
長瀬「全部なくなっちまうぞ!」
燃えるほどの高温になると、中に含まれる養分が変化してしまう。
達也「水分、水分!」
城島「サボテン、サボテン」
城島が急いで調達に向ったのは、浜に自生ずるウチワサボテン。

80%以上が水分のこれを入れれば、火を抑えるうえに、草木灰にもなる。
棘と格闘しながらも、サボテンを入れて無事、鎮火。
10kgあったダンチクに、加えたサボテンがおよそ6kg。
それが冷めた頃には、3分の1の量に。

城島「いい感じ(草木灰)」
さっそく、この草木灰を持って柑橘の斜面へ。
太一「実がちょっと大きくなってる」
確かに、実は日に日に大きく、そして、重くなっていき、順調に育っている証。

草木灰は井戸水に溶かして撒く。
「枯木に花を咲かせましょう」と、花さかじいさんは、臼を燃やした草木灰を撒いたが、粉のままでは散ってしまうが、水に溶いて実にかければ、皮にそのままこびり付く。
これで虫を防ぐだけでなく、落ちれば土の肥料にもなる。

その効果は覿面(てきめん)だった。
太一「あんなに実あったっけ!?」
1年前は20個ほどだった実が、ざっと見ただけでも倍以上。
前回の同じ時期よりもひと回り大きい。

太一「これ甘そう!」
一回り大きく育ったうえに、時期的にも食べ頃。
さっそく、柑橘の実を初収穫。
メンバー全員揃ったところで、試食会。まずは、香り。
太一「島で一番いい香りする!」

では、肝心のお味は?
達也「これは美味い!」
長瀬「甘みと酸味のバランスが最高!」
城島「原種って感じせえへん?」
調べてみると、酸味の強い果汁の多さと
粒の食感が特徴の山口生まれ、甘夏に近い。

しかし、柑橘類は品種改良が進み100種類以上。
今も、その数は増え続けている。
結局、特定するには至らず。
日の光を与え、根に栄養を与え、虫よけも施して、1300日余りで、ついに40年前の味を取り戻した。
達也「島に来て初めての人工物。(栽培)第1号」

さらに、第2号も進んでいた。
進み出した、食料確保への道。
そして、無人島に、ついに畑が!?