だが、落下中にもバーナーを燃やし続けたおかげか、一度は川に着水したものの、すぐに盛り返し再び上昇をはじめた気球。
ここで、川の向きがゴールとは違う方向に折れるため、もう一度高度を上げてゴール方面の西向きの風を探すことに。
しかし360メートルまで上がっても風が吹く気配がまったくない。そこで、小田切さんのアドバイスにより、1500メートルの高度まで気球を持っていく決断をした。

一方達也は、スパイクタイヤで凍った路面を漕ぎ続け、なんとか山の峰へとやってきていた。
しかし、そこから先は下りだが雪に覆われた道なき道。仕方なく自転車を降り、スキーで進んでゆく。
じつはスキーが苦手な達也、だがそこは持ち前のパワーで補いながら、少しずつ歩を進めてゆく。

そのころ上空の気球にはちょっとした異変が。
先ほどまで勢いよく炎を上げていたバーナーが、少し元気がない。
どうやらそろそろ燃料が限界に近づいているようだった。だが、ゴールはまだ8kmも先。しかもその前には林があり、もしその途中で燃料が切れてしまった場合、林に着陸するのはとても危険なことだという。
着々と迫り来る地上、先ほどまで1000メートルを越していた高度も、気付けば700メートル、600メートルと徐々に下降しはじめている。