福岡県みやま市にある筒井時正玩具花火製造所は、昭和4年創業、3代にわたりおもちゃ花火を製造する老舗のおもちゃ花火製造所。
建物を覆う高い壁は、火薬による万が一の被害を最小限に抑えるため。
こちらの製造所のみでつくられる線香花火“スボ手"は、江戸の初めに生まれた線香花火の元の形。ワラを芯棒に使ったもので、火鉢に立てて遊ぶ姿が名前の由来となった。
和紙で巻いた“長手"は江戸の終わり人気を博すが、現在その製造はこちらを含め、国内で3軒のみ。
さっそく、その職人技を見せてもらうことに。

線香花火の材料は、紙と火薬だけ。
火薬を入れた上の部分、細くなったところが首と呼ばれるところ。
紙をきつく厚めに巻くことで、火球の状態を長くもたせる。
ここが、加減の難しい職人技。
線香花火は輝く間、小さな玉“蕾(つぼみ)"、火花の出始め“牡丹"、美しくも激しい火花の“松葉"、そして消える直前の“散り菊"と4つ姿を見せる。
筒井さんが手掛ける一本に火を着けると…
市販のものと比べて継続時間、大きさ、美しさ全てが勝っていた。

線香花火の火薬の原材料は3つ。
硝石が発火と燃焼を助け、硫黄は火球の役割、松煙は火花と、原材料一つ一つに重要な役割がある。
それぞれでは燃えない原料が、ある比率で混ぜられることにより、初めて燃える。
だが、むき出しの火薬は瞬時に酸素と反応し、燃えてしまうだけ。
和紙で巻くことで、一緒に燃えながらきれいな火球ができていく。