2011年3月11日。
その日、DASH村では男たちが二代目バナナを収穫し、春から母屋に設置しようとしていた茅葺き屋根用の雨樋づくりの作業をしていた。
そして、午後2時46分、東日本大震災が発生。
その後、浪江町にあるDASH村周辺から約25q離れた福島第一原発で立て続けに爆発事故が起きた。
その影響を受けて、22日、DASH村は計画的避難区域に指定され、立ち入ることができなくなってしまった。
10年以上お世話になってきた周辺住人の方々も県内外での避難生活を強いられることとなってしまった。
達也「村は終わったわけじゃない。なんとか取り戻そう」

震災から4か月後の7月10日。再開への一歩として、達也が訪れたのは、JAXA相模原キャンパス宇宙科学研究所。
きっかけは、JAXAミッション機器グループの長谷川さんからの手紙。
JAXAでは、ヒマワリによる除染効果を外部有識者と共同で研究しており、独自にDASH村の地で実証実験を行いたいというものだった。
長谷川さん「ヒマワリが肥料だと思って間違えて放射線物質を吸い上げる可能性がある」
しかし、まだまだ実験段階であり、効果が出るかはやってみないと分からないという。
そこで、手つかずのDASH村の土地に蒔くヒマワリと、JAXAの敷地内で栽培しているヒマワリからデータを取り、比較することで、今後の研究に活かしたいという。

共同で作業する上で確認したのは、@今回は除染目的ではなく、あくまで実証実験であること、A種蒔きは後処理ができる範囲面積に限定すること、B採取分析後は適切に処理すること。
達也「作業を僕らが実際にやっても大丈夫なレベルなんでしょうか?」
放射線は鉄板をも通すため、汚染地域で作業をすれば必ず浴びてしまうという。
重要なのは、滞在時間の限定で積算被爆線量を極力抑えること。
そして、薄いガラス繊維でできた防護服で、せめて汚染物質の直接の付着を防ぐ。
更に今回は、充電式送気ユニットの付いたフェイスシールドを着用することで呼吸を楽にし、作業効率を上げる。
蒔くヒマワリの種も効率重視。
水溶性フィルムに種が入ったシーダーテープを使用。