震災から1年が経とうとしていた今年2月、達也は、チェルノブイリ原発爆発事故の現場から半径30kmの地点に設けられた、検問に来ていた。
その立ち入り禁止区域に入るための誓約書に署名し、ウクライナ緊急事態省の役人も同乗。
検問を入ってから車で30分、見えて来たのは事故を起こした4号機。
事故で放出した放射性物質は地球を4周したとも言われ、ヨーロッパ中で汚染が確認された、史上最大の原発事故の跡。

事故から26年経った今でも、3500人程の作業員が、廃炉に向けての業務に当たっている。
だが、放射能拡散防止のためコンクリートで固めた石棺が老朽化、現在、鋼鉄製ドームで建屋ごと覆う計画が進められている。
30km圏内の主な道と線量が極端に高い森に関しては、アスファルトや土の表面を削り取り、除染が施されている。
この日降り立った、原発から600m地点での放射線量は、毎時約0.48マイクロシーベルト。
JAXA研究員の長谷川さん曰く、
長谷川さん「(この放射線量は)普通に畑仕事できる範囲ですね」

だが、森の奥の方の除染はあまりできていない。
ホットスポットがいまだいくつもあり、番組スタッフの乗った車も、線量計が毎時約47.1マイクロシーベルトを示す地点を通過した。
そんな森に、一頭の馬の姿を発見する。
モウコノウマは、ほぼ無人化した30km圏内での、繁殖しすぎた植物同士の摩擦発火を恐れ、人によって放たれた馬。
14年前に31頭が放たれ、現在200頭が生息しているといわれる。
高濃度の汚染は30km圏の外にも広がったが、今回は
そんな地に住む26年経った人たちの暮らし、農業の現実を見る。