「ザビエル、初めて過ごす村の冬」

村にまた大雪が降った。
村全域の雪がほぼ融けかかっていた矢先に降った、久しぶりの雪。
ぬかるんでいた地面がようやく乾いたのに、ふりだしに戻ったかのようにまた積もった。
この前はリンダとふぶきを牧草地で遊ばせたので、今度はザビエルを牧草地に放牧する事にした。ザビエルにとっては初めて過ごす村の冬なので、雪深い外の世界にどのように反応するか楽しみに見ていた。すると、初めは雪に慣れていないからか明らかにビビっていたが、一歩踏み出してしまえば何事もなく歩いていた。

初めはリードを引いて連れていたが、牧草地に着いたらリードを放して自由にしてはみたが、はしゃぐ事はなかった。しまいには心細いのか、僕について歩いてきて離れようとしない。無理矢理離れてみようと走ってみたら、ザビエルも同じように走ってついて来る。ついて来れないように牧草地から出て少し離れたら、寂しそうに柵から乗り出し僕の方を見てずっと鳴いていた。
その姿を見ていたら、牧草地に置いていくのが心苦しくなってしまったので少し遊んで、小屋に戻すことにした。やっぱり、一人よりも隣にチャコがいる方が落ち着くんだろうな。元々、ヤギは集団で行動する動物なので孤独に耐えられないのかもしれないが、それでもザビエルは寂しがり屋だと思う。この前も、猪肉の見張り番を一人でやるのが心細かったのか、長瀬さんに顔を埋めたっきり動かなくなってしまった。




寂しがり屋で、すごく人懐っこい。
晴男なら二本足で立ち上がり勢いを付けて威嚇して来る場面でも、ザビエルは人に威嚇する事はなく、逆に擦り寄ってくる事もある。さすがに、角に触れたりびっくりさせたりすると角で威嚇して来るが、それも優しい。フラフラとどこかに歩いて行くのではなく、僕にぴったりついて来る所を見るとやっぱり人懐っこいなと思える。

チャコとも大分仲良くなっていると思うが、まだまだチャコのザビエルに対する興味は足らない気もする。やっぱり、ビクビクしてばかりいるのではなく、もっと堂々としないとチャコもなかなか振り向いてくれないのかもしれないな。

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