「DASH村へ」

あの大震災から6ヵ月。
DASH村がある地域は計画的避難区域に指定されており、依然立ち入れない。
震災後すぐに避難して以来、時だけが過ぎている状態だった。
そんな中、ヒマワリの種を植える為に久々にDASH村を訪れた。
車で村に近づくにつれ乗用車は減り、警察の車輛くらいしか見られなくなった。村に入る前に検問があり、ここからは許可書がなければ立ち入れない地域。毎日のように通っていた道に通行規制が設けられるなんて思ってもいなかったし、検問を抜けた先は車の行き来がないので全く別の場所のように寂しい雰囲気に包まれていた。

そして、いよいよ村に到着。数ヶ月ぶりだけど、この2年、村をこんなに離れていた事がなかったので、何年も来ていなかったと思うくらい久しぶりな気がした。
村はとにかく、荒れていた。どこも雑草が生い茂り、僕の背丈くらいまで伸びていた。必ず聞こえていたヤギ一家、ヒツジ姉妹の賑やかな声は避難して他の場所にいる為に聞こえず静まりかえり、小屋の中はガランとして寂しげだった。
荒れた田んぼに畑、静まり返る動物の小屋、ジャングルと化した牧草地と殺伐とした現状は、僕がずっと見てきた村の光景とは180°違っていた。そして、それを見つめる僕たちは、白い防護服を身にまとう。本当に何もかもが異様だった。




母屋や役場の中は、屋外とは逆に全く変わらず、あの急いで避難した日のまま、本当に時が止まったようだった。田んぼや畑が雑草に覆い尽くされ景観は変わってしまったけれど、本当は何も変わっていなかったかも知れない。ただ、いつもと同じように草が伸び、蜘蛛が巣をはって、埃が溜まっただけ。それを手入れする人間がいなくなったから、あんなにも変わってしまったんだ。

現実を目の当たりにすると悲しくなる。日々、生活し、色々な事を学んだDASH村。僕は2年しかいられなかったけれど、本当にたくさんの思い出がつまっていた。その生活も本当なら継続していたはずだったのに、すっかり過去のものになってしまったように感じてしまった。線量が高く、いつ村に戻れるかも、震災前の姿を取り戻せるかもまったく将来がわからない。
放射能は目に見えないので、またすぐにここでの生活を再開出来るんじゃないかと思えるのに、それも無理な現状は本当に歯がゆい。
久しぶりの村は放射能の影響で滞在が2時間に制限され、抜本的な解決も出来ないまま村を離れ、またしばらく立ち入れない現実に戻る。目で見て知る事は出来たが、悲しくて虚しい気持ちにもなった気がする。
けれど、今回ヒマワリ実験を始めて、これでやっと再開の小さな第一歩を踏めた気がした。DASH村の復興はこれからだ!

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