「新しい仲間の誕生」

震災の影響でバラバラになってから半年以上が経ち、嬉しい知らせと悲しい知らせがほぼ同時期に届いた。
震災前に死んでしまったリンダ。その末っ子のふぶきが7月の終わりに母親を追うように死んでしまった。お姉さんのチャコと比べたら半分くらいしかない小さな体には、急激な環境の変化が影響していたのかもしれない。新しい環境で、ようやく慣れた頃かなと思っていたので、突然の訃報にとても残念な気持ちでいっぱいになった。

特に、ふぶきは産まれた時から知っているので、思い入れも強かった。
ふぶきが生まれたのは、2010年の2月中頃。強い北風に雪が舞う極寒の朝だった。なりたての新米村人だった僕の初仕事が、ふぶき誕生のサポート。
生まれたてのふぶきは弱々しく、立つのにも、泣き叫ぶのにも時間がかかった。もう、このまま弱って死んでしまうんじゃないかとあたふたしながら、体が冷えないように藁を足したり、体をタオルで温めたりととにかく出来る事をやった。




幸い、元気になったふぶきはすくすくと成長。それからも続く極寒の日々の中、やんちゃに小屋内を飛び回り、時々、リンダの背中にも飛び乗った。リンダも飛び乗られる度に困惑の表情を浮かべ、ふぶきから逃げ出す事もしばしばあった。だけど、ふたりはとても仲良しだった。
3ヵ月が過ぎ、もう独り立ちの時期が来たので、部屋を別々にしたが、牧草地ではいつもリンダの後をついて回っていた。大きくなっても、やっぱりリンダの子に変わりはなかった。今、思えば、リンダの死もふぶきには大分堪えていたのかもしれない。

そして、その1ヵ月後、生まれ変わるように夏生が生まれた。夏生は去年、婿入りした黒ヤギのザビエルとふぶきの姉、チャコの子ども。不幸続きだったので、新しい命の誕生は嬉しかった。チャコにとっては、初めての子どもだったが、僕たちがグリーン牧場を訪れた時には、すっかりお母さんだった。夏生が少しでも視界からいなくなろうものなら、心配になって必死に探しながら、メエメエ鳴いた。お乳を出すための夏生の頭突きにも顔色一つ変えずに耐えていた。チャコに見守られ、夏生は順調に成長していた。
その後、晴男とザビエル、そしてヒツジ姉妹にも再会したが、みんな元気そうで何よりだった。ただ、晴男は少し元気すぎるようで、飼育係の中靜さんを追いかけ回していた。それを見て、あんなに可愛い夏生も将来、こんな風になってしまうのか、少し心配になった・・・。

前の週 次の週