知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


部屋干し臭防止 洗濯法
第1087回 2011年6月18日


 梅雨時に、仕方なく洗濯物を部屋干しすると、生乾きのニオイがしがちですよね。そこで今回は、街で聞いた、皆さんが梅雨の洗濯で行っているという、代表的な生乾きのニオイ対策の効果を検証します!

①洗剤の「量」を増やす
 洗剤の量を増やせば、生乾きの嫌なニオイはしないのでしょうか?そこで実験!新品の白いTシャツを20代の男子大学生たちに着てもらい、1時間のジョギングで汗をたっぷり染み込ませます。そして翌日。3枚のTシャツを抜き出し、それぞれ粉末洗剤の「標準量20g」、「2倍の40g」、さらに「10倍の200g」を投入し、洗濯します。一般的なタテ型の全自動洗濯機を使い、水量は30リットルに統一したのですが…。40分後、脱水が終了した3枚のTシャツを、梅雨時、6月中旬の室内平均値である、室温24℃、湿度80%に設定した部屋で20時間部屋干しします。実験はここからが本番!街行く20人の方に、何も伝えずに、3枚のニオイをかいでもらい、一番クサいと思うTシャツを選んでもらいます。すると…なんと標準は7人、2倍は7人、10倍は6人と、見事に意見が分かれたのです。洗剤の量が違うのに、ニオイはそんなに変わらないのでしょうか?

 そもそも生乾きの嫌なニオイの正体を専門家に尋ねると…「洗濯で落としきれていない汚れに、細菌が繁殖して起こるニオイ」だといいます。天日干しの場合は、汚れが残っていても日光で細菌が死滅、細菌の繁殖を防ぎ臭いません。しかし、部屋干しの場合は、残った汚れをエサに細菌が繁殖、ニオイが発生してしまうそうです。そこで、先ほどの3枚のTシャツに、汚れに反応して紫に変色する特殊な液体をかけ、汚れの残り具合を比較してみると…洗剤の量に関わらず、3枚とも同じ程度の汚れが残っていたのです!その理由を専門家に伺うと…「洗剤には適正濃度があり、この時点で界面活性剤が洗濯物と汚れの表面を全て覆ってくれるため、それ以上に洗剤を加えても、余った成分が水の中を漂うだけで、効き目はない」そうなんです。そこで、具体的に汚れ落ちに差が出るのか、皮脂の代わりにラー油を付着させた布を洗濯し、反射率で汚れ具合を測定してみました。3社の洗剤で平均をとったところ、洗剤量「標準」、「2倍」、「10倍」のいずれも、落ち具合を示す数値にほとんど変化はありませんでした。

所さんのポイント
ポイント1
洗剤の量は標準でも、界面活性剤が洗濯物と汚れの全体を包んでくれるので、洗剤を追加しても、汚れ落ちの効果は変わらないのだ!

②「液体洗剤」を使う
 最近、「クサくならない」と評判の液体洗剤。そこで、前の実験で作ったTシャツの中から2枚を取り出し、それぞれ標準量の「液体洗剤」と「粉末洗剤」で洗い、先ほどと同じ条件で部屋干し乾燥します。匂いかぐ所さん「遠くのほうでニオウよこれも!」この2枚のTシャツのニオイをスタジオで所さんに嗅ぎ比べてもらうと…どちらも同じような生乾きのニオイがするとの事。先ほどの特殊な液体で汚れを調べてみても、ほぼ同じ程度の汚れが残っていました。専門家に理由を伺うと…「液体洗剤には、界面活性剤の力を助ける補助剤を配合しにくいという性質があり、粉末洗剤と、洗浄力はほぼ同等と考えられる」そうです。実際に、再びラー油汚れで落ち具合を比較してみても、ほとんど数値に変わりはありませんでした。実は今回の実験には、ほとんど香料が含まれていない液体洗剤を使いましたが、本来液体洗剤は、香料が配合しやすく、洗った服にいい香りが付きやすいので、クサさが気にならないようになっているようです。

③洗濯機で「何度も洗う」
 さて、洗濯機で何回も洗えば、本当にクサくならないのでしょうか?そこで、先ほどのTシャツから1枚を取り出し、標準の洗剤量で7時間かけて「10回連続」で洗ってみることに。さらに、比較のために、もう一枚のTシャツを「一度だけ」洗って、同じ条件で部屋干し乾燥させます。そして、またまたスタジオで所さんにこの2枚のTシャツのニオイを嗅ぎ比べてもらうと…「2枚とも同じ生乾きのニオイがする」との感想。汚れに反応する液体をかけ比べてみても、汚れの残り具合は、ほぼ同じ!専門家に理由を伺うと…「3回洗っても落ちない汚れは非常に頑固な汚れなので、それ以上繰り返しても水と洗剤のムダ使いになってしまう」のだそうです。実際に、ラー油汚れの落ち具合を、1回、3回、5回、10回洗濯した布で比較してみても、3回目までは多少効果が見られたものの、それ以降は数値にほとんど変化はありませんでした。なんと、皆さんが梅雨の洗濯で行っている代表的な生乾きのニオイ対策では、洗剤の量を変えても、何回洗っても、生乾きのニオイは取れないという結果に!!
 とはいえ、季節は梅雨。細菌を死滅させることでニオイのしない天日干しが、思うように出来きないのが、つらいところ…。では、一体どうすればいいのか?

 そこで、先生にとっておきの方法を尋ねたところ…実は「汚れがついてから洗濯をするまでの時間」がとっても大切とのこと。すぐに洗濯、1日後、3日後確かに、これまでの実験では普通の家庭と同じく、服を脱いだ翌日に洗濯をしていました。そこで今度は、20代の男性スタッフが同じようにジョギングでTシャツに汗を染み込ませ、脱いでそのまま洗濯機に投入!比較のため、脱いでから1日置いたTシャツと、3日置いたTシャツも同じように洗濯し、同じ条件で部屋干しします。そして、すぐに洗ったTシャツのニオイを所さんに嗅いでもらうと…一切、生乾きのニオイがしなかったのです!汚れに反応する液体を使った比較でも、一目瞭然!すぐに洗ったTシャツは圧倒的に汚れが落ちていました。
 この差の理由を専門家に伺うと…「時間を置くと、油汚れなどは繊維の奥まで入り込んでしまい、さらに汚れが酸化を起こすと、落ちにくい汚れに変化してしまう」そうなのです。ラー油実験でも、日を置くごとに、汚れが落ちにくくなることがわかりました。

所さんのポイント
ポイント2
部屋干しで生乾きのニオイを防ぐ、とっておきの方法は、汚れた衣類は出来るだけ時間を置かず、すぐに洗うことだった!




物・その他編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧