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あんこ の科学
第1195回 2013年9月22日


 小豆から作る「あんこ」は日本の伝統的な和菓子の主役!しかし街頭で聞いてみると、5人に一人の割合であんこは「甘すぎ」で好きじゃないという声が…。そこで科学の目で、あんこの魅力を再発見!

①あんこの秘密 なぜ大量に砂糖を使う?

 あんこと言えばねっとりとした甘さ。実際、あんこには大量の砂糖が使われています。あんこ工場で見てみると、まず、砂糖を水に溶かしシロップ状にした後、さらに下茹でした小豆と砂糖を入れて煮ていくんです。伝統的なあんこの場合、小豆と同じ量の砂糖が使われていることも。しかし、街中で意見を聞くと、あんこは甘すぎるという意見。ならば、あんこに入れる砂糖を減らしてみたら、どうなるんでしょう?
 そこで実験!小豆と同じ量、半分の量、四分の一、砂糖ゼロの、4種類のあんこを作ります。砂糖を水に溶かし、茹でて皮を取り除いた小豆の粉を入れます。水分は砂糖の量で違うので、職人さんが調整し完成!
 砂糖の割合が違うあんこ。出来上がりにどんな違いがあるんでしょうか?ためしに、手に持って引っ張ってみると…砂糖が多く入っているほど、あんこに粘りがあるようなんです。そこで粘りを調べるため更なる実験!
 あんこを板にのせ、上からもう一枚、板を乗せます。その上に、10キロのウエイトを乗せてあんこをつぶしました。板を引っぱり上げ、板があんこから離れる力で、あんこの粘りを測ります。
 実験の結果・・・砂糖の量が多いあんこの方が板から離すのに強い力が必要。砂糖を入れないと、アンコ特有の粘りが出ない。それは一体、なぜなんでしょうか?
 小豆を煮ていくと、細胞のつながりが切れて、小さな粒子に分かれます。これは「あん粒子」と呼ばれるもの。このあん粒子は、煮ても粘りが出ず、そのままではあんこになりません。しかし、このあん粒子に砂糖を加えると、粘性のあるゲル状になった砂糖があん粒子の周りにくっついて、粘りが出てくるんです。

所さんのポイント
ポイント1
砂糖は、甘さだけでなく、あんこ独特の粘りをだすために必要なのだ!

②つぶあんVSこしあん どっちが甘く感じる?

 あんこの2大巨頭!「つぶあん」と「こしあん」。2つの原料を同量用意。砂糖の量も同じにし、甘さの基準となる糖度が同じになるよう調整します。あんこを作って30年以上の職人さんが糖度をチェック。こうして、ほぼ同じ糖度のあんこが完成。ということは、この2つの甘さは同じはず。しかしショッピングモール内にあるフードコートで、お客さんに食べ比べてもらうと…その結果「粒あん」の方が甘いと答える人が続出!20人中15人が粒あの方が甘いと感じたんです。同じ糖度なのになぜ粒あんを甘いと感じたんでしょうか?
 食品の甘みに詳しい先生によると「口の中でよく噛んだのではないか」とのこと。そこで、それぞれのあんこの噛んだ回数を機械で測定。5人で計測すると全員「粒あん」の方が噛む回数が多かったんです。専門家によると、よく噛むことで、粒あんの中の砂糖が唾液にたくさん溶けて甘く感じたとのこと。甘さは、舌にある味蕾で感じます。しかし、舌には凹凸があり、甘さを感じる味蕾は奥深くにあるため、固形のものでは甘さを感じにくいんです。こしあんの場合、あまり噛まなくても、喉を通るため、比較的甘さを感じにくくなるんだそうです。一方、粒あんは小豆の皮などがあり、飲み込む前に、こしあんよりたくさん噛み、唾液が多く分泌されるので、砂糖が溶けた唾液が味蕾のある奥の方まで届きます。だから同じ糖度でも、甘く感じやすいんです。

所さんのポイント
ポイント2
糖度は同じでも、粒あんを食べた時の方が唾液がたくさん出て甘く感じるのだ!

③世界の豆料理を小豆で作ってみよう!

 小豆は、あんこにして食べるのがほとんど。世界にはいろんな豆料理があるのに、なんで小豆は料理に使われないのか?そこで、いろんな豆料理を小豆で作ってみる実験!



 まずは、トルコ料理。トルコのおふくろの味、ヒヨコ豆の煮込みを小豆で作ってみよう!
 鍋にトマト味のスープを作り、この中に、ヒヨコ豆ではなく、30分下茹でした小豆を入れます。味をしみ込ませるためにさらに煮る事30分。トルコ風小豆の煮込が完成!
 続いては、スペイン料理。レンズ豆の煮込みを小豆で作ってみよう!
 まず香辛料を炒め、香りが出たところでトマトを炒め合わせます。さらに、ソーセージや野菜も加えたら、その中に、生のままの小豆を入れていきます。あとは、水を加えて40分煮込みスペイン風小豆の煮込みの完成!
 最後は日本料理。「大豆の煮豆」を小豆で作ってみよう!
 まずは、大豆の場合と同じく、小豆を下茹でします。茹で時間は1時間。下茹でが終わった小豆に他の具材も加え醤油で味を付けたら、味がしみ込むまで30分ほど煮込めば完成です。日本のおふくろの味、大豆の煮豆ならぬ小豆の煮豆の完成!
 3品とも見た目は完全に粒あん。小豆はこのように料理にすると、皮が破けて中身が出て皮しか残らない。つまり、煮崩れてしまうという特徴があるんです。そこで、4種類の豆を煮て、煮崩れを何分位で起こすのか、観察してみました。煮始めて40分後。最初に小豆の煮崩れがはじまり、皮が破けてしまいました。でも、他の豆に大きな変化はありません。さらに4つの豆を煮ていきます。90分後、全部の豆の変化を見てみると、小豆は完全に煮崩れてぐちゃぐちゃ。でも、他の豆は煮崩れせず、豆の形を保っていたんです。
 一般的に、煮くずれしにくい豆は加熱で膨らむデンプンが少ないんです。さらに、外側の皮も柔らかいと言われています。しかし、小豆はデンプンの量が多く、加熱されたデンプンは膨らんでいきますが、皮が硬く膨らまないので、すぐに皮が破れてしまいます。その結果、煮崩れが起きてしまうんです。

所さんのポイント
ポイント3
小豆は皮が硬いので簡単に煮崩れてしまうのだ!

④あんこを入れると、激ウマ料理に変身!?

 和菓子には使うけれど料理に使う事はないあんこ。もしかしたら、あんこと、とっても相性のいい料理があるのではないか?そこで、目がテンは科学の専門家にリサーチ!すると、ある教授から「あんこは乳製品に含まれる乳脂肪と相性がいいはず。」との答えが。そこで、実際にあんこと乳製品を合わせる料理を作ってみる事に!作ってくれるのは赤堀料理学園校長の赤堀さん。
 まずはクリームシチュー!市販のルーでクリームシチューをレシピ通りに作り、その中にあんこを溶かし入れます。
 見たこともないあんこ料理を試食してもらうのは20代から40代までの10人。美味しい場合は、赤いプレート。まずい場合は青いプレートを上げて頂きます。判定の結果…あんこクリームシチューを10人中8人が美味しいと判定!コクが増して美味しかったという意見がありました。専門家によると、あん粒子と乳脂肪が上手く混ざりあうことで、クリームにコクが出たと考えられるそうです。
 続いては、あんこピザ!判定の結果、全員が美味しいと判定!専門家によると、熱して溶けたチーズの脂肪分があんこの中に入り込み、美味しくなったと考えられるそうです。

所さんのポイント
ポイント4
乳脂肪の料理にあんこ混ぜあわせると美味しくなるのだ!




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