放送内容

第1424回
2018.05.06
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 食べ物 水中の動物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 かがくの力で豊かな里山をよみがえらせる、長期実験企画「かがくの里」。

中丸君、かがくの里初体験

 3月下旬。かがくの里にやってきたKAT-TUNの中丸雄一を、かがくの里専任プレゼンターの阿部さんと農業の専門家・高橋先生がお出迎え。今日は、中丸君にかがくの里で色んな初めてを体験してもらいます。
 まずは、ジャガイモの種芋植え。今年は2品種、男爵とインカの目覚めに初挑戦。高橋先生が等間隔に掘った穴に種イモを植えていくだけの一見、簡単な作業ですが、かがくの里の1年目には手伝っていた番組スタッフが深く植えすぎて種芋を腐らせてしまいました。同じ失敗をしないよう、深さに気を付けて植えていきます。新品種の「インカの目覚め」は他の品種より、育てるのが難しいそうですが甘みがあって美味。

 続いて阿部さんが見せたのはイノシシの痕跡。今は電気柵がはってあるから畑には入れませんが、電気柵の外には新しい足跡があり、今も作物を狙い続けているみたいです。イノシシが人里に近づいてしまう原因は裏山。木々が伸び放題で、これが人里にイノシシが近づけてしまうのです。そこで今年から、本格的に動き出したのが里山再生プロジェクト!長年放置され、暗く荒れた山から木を伐り出し、木漏れ日溢れる美しい里山へ生まれ変わらせる計画。里山を手入れすれば、イノシシも人里へ近づきにくくなるといいます。

 1月下旬。伐った木を運び出すための作業道が完成。ちょうど間伐作業の真っ最中。そこで、中丸君が間伐作業を初体験です。フル装備に着替え、里山再生プロジェクトにご協力頂いている地元森林組合の方々と合流。中丸くんがみっちり1時間チェーンソーを練習して伐倒、初挑戦。まず倒したい方向に受け口を入れ、続いて反対側から「追い口」と呼ばれる切り込みを入れます。くさびを打ち込めば倒れるはずですが、あらぬ方向に気が倒れてしまいました。続いて二本目は…隣の木に引っかかっちゃいました。これを森林組合の中野さんが木を右に回転させてリカバリー。

 最後に、中丸くんに里の恵みを初体験してもらいます。調理科学の専門家、露久保先生が作ったのは、かがくの里で採れた小麦から作ったパンケーキ!実は、露久保先生は焼く前の生地にヨーグルトを混ぜていたんです。そうするとパンケーキがフワフワに仕上がるんです。パンケーキは生地に入れるベーキングパウダーの働きで膨らんでいます。ベーキングパウダーはアルカリ性の重曹と酸性の物質から作られていて、加熱するとそのアルカリと酸が反応し二酸化炭素が発生して膨らんでいます。

ポイント1

パンケーキの生地を作るとき、酸性のヨーグルトを加えると、より多くの二酸化炭素が発生するので生地がフワフワになるのだ!

鰻の驚きの生態

 4月上旬。阿部さんが訪ねたのは北里大学。2018年、かがくの里のビッグプロジェクトのひとつウナギ養殖の準備が進んでいるということで千葉先生に呼ばれたんです北里大学が研究用に購入した、かがくの里で養殖予定のシラスウナギ。最近はシラスウナギの捕獲量は年々減っていてニホンウナギは絶滅危惧種に指定されてしまいました。実はかがくの里で行うウナギ養殖はウナギを絶滅の危機から救うための実験でもあるんです。
 ポイントは養殖環境の違い!通常の養殖では、水温30度の生け簀でたっぷりエサが与えられ、自然で育つウナギよりも早く大きくなります。ただ、そんな養殖の環境で育つとほとんどがオスになってしまうそう。シラスウナギの時は、まだオスかメスかは決まっていません。20センチくらいの大きさになるころで決まるんです、原因はまだはっきりとわかっていないんですがオスばかりでは、子孫が残せません。

 かがくの里では自然環境に近い「ため池」で育てるのでオスメスが半々になる可能性があるんです。もしメスが出てきたら、川に放流して資源の増殖に役に立てるかもしれません。
 そんな壮大な夢を抱いたウナギ養殖プロジェクト!現在、千葉先生は、かがくの里で養殖するシラスウナギの餌付けをしている段階。オスメスが決まる前、10センチ程度の大きさまで、研究室で育てなるべく外敵に食べられないようにする計画です。エサは、スルメイカなどを混ぜたもの。かがくの里で行うのは、エサを与えない自然循環型の養殖。そのためプランクトンなどのエサが自然発生する5月、放流する予定です!ここで、ウナギのおもしろ生態を紹介。

 その① 「ウナギ上り」は超すごい!
 「うなぎ上り」とは、急激に上昇する様をあらわす言葉。栃木県の中禅寺湖にある華厳の滝も上っていくそう。

 その② ウナギは寝床がないとだめ。
 間口が狭く奥行きがある。細長い建物を指す言葉として使われるウナギの寝床。実際、ウナギはこの塩ビ管のように、体が入れられる細長―い場所を寝床にします。また、ドジョウと同じように泥や砂の中に潜る性質も。身体がなにかに密着してないと安心できないんです。しかし…ウナギは寝床がないと寝ないで動き続けてしまうんです。一生懸命運動するので、それだけエネルギーが必要で餌もたくさん食べます。これがいわゆる養殖のウナギの状態で、一種の異常な行動。早く大きくなるように環境に適応したウナギです。かがくの里のような自然に近い状態で大きくなると、養殖条件下でみんながオス化してしまうような異常なことは起こらないのではないかなと千葉先生は考えてています。

ポイント2

自然に近いかがくの里のウナギ養殖実験、この先も楽しみなのだ!