放送内容

第1462回
2019.02.10
忍者の生活 の科学 物・その他

 様々な時代の生活を実際に体験してそこに隠された驚きの科学を発見する「目がテン歴史研究会」!第9弾となる今回、歴史体験プレゼンターの都丸紗也華さんがチャレンジするのは、忍者の生活!近年、忍者研究が進み、科学者たちが忍術書を分析。その技と道具には、驚きの知恵とアイディアが詰まっていました!当時最先端の科学を駆使した道具を忍術書をもとに完全再現!謎の道具、息袋(いきぶくろ)。その正体は?
 今回は、最新研究で分かった忍者の秘密に迫ります。

驚きのからくりが満載!忍者屋敷

 都丸さんが訪れたのは、忍者の里として有名な三重県伊賀市。忍術に詳しい三重大学の川上先生に話を伺います。まず二人が向かったのは、江戸時代末期の屋敷を参考に再現された忍者屋敷。
 忍者は、普段は農民として暮らし、雇われている大名や藩からお呼びがかかると、忍者となって任務を遂行していたんです。
 ここで恒例の着替えタイム!普段は農民だった忍者の服は体の動かしやすい作業着。

 忍術書によると、忍者の服の色は実は「黒」は少なく、「柿渋色」「茶色」「紺色」など様々な色があったそうです。

 続いては、見た目は普通の農家なのに、驚きのからくりが詰まった、忍者屋敷を体験!
 4人の忍者が、屋敷の大広間と庭に隠れています。都丸さんには敵の忍者になったつもりで、隠れている忍者を探してもらいます。どうしてもわからない場合はギブアップボタンを押せば先生が助けにきてくれます。
 それでは、チャレンジスタート!都丸さんスタート直後に、1人目を発見。引き戸に見えますが、実は回転する扉。これが「どんでん返し」。扉の裏に隠れたり、屋根裏に逃げることができるんです。

 さらに庭にも忍者が。二人目は庭で石のようにじっとしている忍者!これは風呂敷をかぶり石のような形でうずくまる鶉(うずら)がくれという技。闇夜にやると、よりわかりにくいと言います。

 さあ、残るは2人。出だしは好調でしたが、その後15分間、探し続けても残りの忍者は見つけられません。そして…都丸さんギブアップです。
 いったいどこに隠れているのか?3人目の忍者がいたのは、天井裏のスペース。棚に見える横板は、実ははしごで、天井裏に上がることができます。天井裏は広間に比べ暗いため、中に人間がいることは外からは見えませんが、上からは下の様子がよく見える仕組みになっているんです。

 そして、4人目は、壁の裏。実はドンデン返しになっていた壁。扉の裏に隠れたりその先は地下の抜け穴につながっているので家の外に逃げられます。

 農家に見える忍者屋敷には、棚や壁、引き戸など、家にある普通のものを使ったからくりが詰まっていました。

忍び歩きと忍者の食べ物

 情報を持ち帰るためになんとしても生き延びなければならなかった忍者。敵に気づかれずに忍び込む技とは?
 忍びの歩き方の基本は、足を後ろに上げて、前に出す抜き足・差し足。音をたてずに歩く基本の歩き方です。さらに、狭いスペースで俊敏に動くための横歩き。こちらも、都丸さんすぐに習得!そして、敵の寝室などに忍び込むときは、手の甲に足をのせる、これで移動します。手の感覚で、床に落ちているものにも気付けて、音を出さずに、敵に近づける技です。

 忍者修行をすること1時間。様になってはきましたが、ヘトヘトになった都丸さん。そこへ現れたのは、忍者の食料について研究している、三重大学の久松先生。久松先生が取り出したのは忍者食。石に見えますが、忍術書を元に再現した忍者の保存食です。

 こちらは、喉がかわいたときに食す水渇丸(すいかつがん)。材料は、梅干し、氷砂糖、そして咳が出ると忍者は命取りなので咳止めになる漢方、麦門冬(ばくもんどう)。これらをつぶし、丸めて乾燥させたものです。

 忍者の保存食は疲れを癒やし、ストレスを和らげる薬のような役割があったんです。

忍者道具を現代に再現!

 忍者の道具を研究している荒木先生。忍者は特に火を使うことに長けていたそう。忍者の秘伝書、萬川集海(ばんせんしゅうかい)には、放火用の火矢(ひや)、照明用の松明(たいまつ)、合図の狼煙(のろし)など、火を使った様々な道具の作り方が記されていました。中でも先生が注目しているのは、雨でも風でも消えないという松明。
 当時の松明について、忍者研究の第一人者、三重大学の山田先生に聞くと、松明の使い方は色々あり、火炎放射器のように火が吹き出すものや、松明を手裏剣にして投げる、相手がひるんでいるうちに逃げるという使い方があったそう。
 忍者の第1の任務は情報を持ち帰ること。敵と積極的には戦わず、松明で威嚇して逃げるスキを作っていたんです。

 雨でも風でも消えないという松明。どのようなものを燃やせば、そんなことができるんでしょうか?
 忍者の松明の主な材料は、木炭と、硫黄、そして硝石。硝石とは、硝酸カリウムという物質で天然のものは一部の地域でしかとれないため、日本では輸入したり人工的に作っていたそう。蚕の糞や干し草、土を発酵させ、およそ4年の月日をかけて作っていたそうです。火器において、この硝石が重要だったんです。そこで実験!
 一方は、木炭と硫黄の粉末を合わせただけのもの。もう片方には、さらに硝石を加えています。まず木炭と硫黄のみの粉末に火をつけます。炎は出ず、煙があがるだけ。

 一方、硝石が入っていると、激しく燃え上がりました。

 これは、硝石の中に酸素が入っているため。酸素が燃えるのを助けているんです。
 そして、雨でも風でも消えないという松明。忍術書を元に再現してみます。松明の再現は、火薬のプロ、花火師の伊藤さんにお願いしました。忍術書通りに火薬を調合。木炭、硫黄、硝石の他に、燃焼時間を延ばすためネズミの糞、樟脳(しょうのう)、松脂(まつやに)も混ぜ合わせます。火薬は少しずつ竹筒に詰めて固めていきます。出来上がった松明がこちら。

 火の扱いに長けていた源義経の名前がつけられている、水に強い松明です。
 まずは、シャワーで強めの雨を再現。燃えている松明に雨を降らせますが、松明は消えません。そこで直接、水槽の水に入れてみることに。さすがに炎は消えてしまいました。しかし!水から取り出してみると消えていません。忍者の松明は硝石に含まれる酸素によって水の中でも燃え続けられる優れものだったんです。

 さらに堀や海など、水辺で使う忍者道具も忍術書に記されています。忍術書の中に、今までにない変わった道具を発見したという国際忍者学会の会長中島(なかしま)先生に話を伺いました。
 中島先生が、10年ほど前に手に入れた忍術書に書かれていた、謎の道具、息袋(いきぶくろ)。上部には3本の管。袋の横と下からは紐が出ています。息袋を使うのは、主に水深2、3メートルの海や池。息袋に、空気をため鼻と口に管を入れて呼吸していたというんです。

 にわかには信じがたい、驚きの道具。実際に使えるものだったのか、検証です!忍術書をもとに日本テレビの美術スタッフが息袋を完全再現!
 そして、検証の日。医師でもある中島先生の指導の下、検証するのは、忍術書を元に再現した息袋。現代の素材で制作し、大きさも潜りやすいよう小さめにしました。

 まず息袋を紐で体に縛り付けます。そして、3本の管を、口と鼻の中に突っ込みます。水の中で、鼻で呼吸する時、空気がもれないよう鼻栓はかなり大きめ。都丸さん、鼻は膨らんでますがなんとか突っ込めました。水中では口から吸って鼻から吐くのがポイント。潜る前に、袋に息を吹き込みます。しかし、都丸さん、何回もチャレンジしますが、顔をしずめることができません。都丸さん、実は泳ぐのが苦手で潜ることもできませんでした!

 そこで、今度は泳ぎの得意な、渡辺裕太が挑戦。鼻に管をつけて、息袋を膨らませ潜ると、見事水中で呼吸をすることができました! 忍者の秘密道具、息袋!その再現に、見事成功しました!