11月10日(水)深夜2:29〜3:29

指 揮 テオドール・グシュルバウアー
演 出 実相寺昭雄
管弦楽 読売日本交響楽団
合 唱 二期会合唱団
司 会 古市幸子(日本テレビアナウンサー)

モーツァルト作曲:
オペラ<魔笛> 第1幕から

※2010年9月9日 新国立劇場オペラパレスにて収録



東京二期会オペラ劇場≪魔笛≫

「深夜の音楽会」11月と12月の放送は、東京二期会公演の
モーツァルト作曲オペラ「魔笛」を2回にわたってお送りいたします。
新国立劇場で行われた今回の「魔笛」は、2000年に制作されたもので、
4度目の再演となります。





再演を重ねる人気の秘密は、実相寺昭雄さんによるユニークな演出!
実相寺さんは「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の監督として有名ですが、
幼い頃からクラシックに親しみ、「フィガロの結婚」「カルメン」など数多くの
オペラ演出も手がけています。
実相寺さん演出のみどころは・・・
アニメのキャラクターを思わせるファンタジックな衣装ドライアイスを使った視覚的効果、回り舞台日本語の台詞、さらにはウルトラマンの怪獣たちまで登場するなど、既成のオペラの枠を超えたアイデアがいっぱい詰まっているところです。


実相寺さん演出の「魔笛」の魅力を、
今回「夜の女王」役を務める安井陽子さんにお話を伺いました。

<夜の女王 安井陽子 インタビュー>

オペラと言うと、聴いたことない人、見たことない人には少しかしこまってしまうようなイメージがありますね。ところが「魔笛」は、本格的なオペラというよりは、市民のために、芝居小屋的なオペラとして書かれたものです。今回の実相寺監督の演出は舞台もとても華やかで、子供から大人まで楽しめる、そして大変オペラが身近に感じられる舞台になっていると思います。


オペラ「魔笛」とは・・・
1791年に作曲された、モーツァルト最晩年の傑作。台本作家シカネーダーの経営するウィーンの下町の民衆劇場で初演された。聴衆を楽しませる華やかな仕掛けが数多く登場し、レチタティーヴォに代えて台詞で進行する、ジングシュピール(歌芝居)形式を用いている。

〜あらすじ〜
夜の女王に仕える3人の侍女は大蛇に追われた王子タミーノを助ける。タミーノが気を失っている間にパパゲーノが登場し、タミーノを助けたのは自分だと嘘をつき自慢をする。侍女たちはタミーノに夜の女王の娘パミーナがザラストロに誘拐されたと知らせる。彼女の絵姿に一目で恋をしたタミーノは、彼女と結ばれるために、パパゲーノと共に試練に挑む・・・。

<第1幕>
大蛇に追われ気を失った王子タミーノを、夜の女王に仕える3人の侍女が助け、タミーノのことを報告に夜の女王のもとへ去る。

そこへ鳥刺しのパパゲーノが現れ、
タミーノを助けたのは自分だと嘘をつき自慢する。

再び3人の侍女が現れ、夜の女王の娘・パミーナの肖像画を 受け取ると、タミーノは一目でパミーナに恋をする。
そして、パミーナがザラストロの手下にさらわれたことを聞かされる。



そこへ夜の女王が現れ、娘を失った悲しみを聞かされたタミーノは心を打たれる。そして侍女たちは女王からの贈り物として、タミーノに身を守ってくれる魔法の笛を、パパゲーノに銀の鈴を与え、パミーナを救出する為に、ザラストロの国へと向かわせる。



ザラストロの国に忍び込んだパパゲーノは、パミーナに出会う。 パパゲーノが母である夜の女王の使いだとわかり安心するパミーナは、王子タミーノのことを聞かされる。


一方ザラストロの神殿に来たタミーノは、中に入ることを拒まれる。
しかし、弁者と問答をするうちにザラストロが悪者ではないことがわかる。
そしてパミーナが生きていることを伝え聞く。


パミーナが無事だと知ると、魔法の笛を吹き、笛の音をパミーナへ届けようとする。


パミーナとパパゲーノは、魔法の笛の音を聞きつけタミーノのもとへ急ぐ。しかし、ザラストロの奴隷モノスタトスたちに再び捕まってしまう。ところがパパゲーノが銀の鈴を鳴らすと、モノスタトスたちは美しい音色に浮かれ出す。



そこにザラストロが登場。パミーナは、ザラストロから逃げ出したことを素直に話す。
すると二人の前にタミーノが現れる。



タミーノとパミーナはようやく出会うことができたが、ザラストロは、二人に試練を与え、引き離す。
タミーノは、パミーナと結ばれる為、パパゲーノと共に試練に挑む・・・。

この続きは、次回12月1日(水)に放送します。
どうぞお楽しみに!

テオドール・グシュルバウアー(指揮者)  Theodor Guschlbauer(conductor)
1939年ウィーン生まれ。最初ピアノとチェロを学び、後にハンス・スワロフスキー教授の下で、指揮教育を受けた。またロヴロ・フォン・マタチッチ、ヘルベルト・フォン・カラヤンに師事した。
カペルマイスターとしてウィーン・フォルクスオーパー及びザルツブルク州立劇場と契約し研鑽を積んだのち、69年よりリヨンのオペラの首席指揮者に就任して以降、75年からリンツ州立劇場の音楽総監督並びに同地ブルックナー・フィルの首席指揮者。83年より97年までストラスブール・フィルの首席指揮者、97年から2001年までは、ラインラント=プファルツ州立フィルの音楽総監督を務めた。客演した世界のトップクラスのオーケストラは数知れず、またザルツブルク音楽祭を筆頭に世界の音楽フェスティバルからも定期的に招聘されている。
オペラの分野では、ウィーン国立歌劇場をはじめ、ハンブルク、ミュンヘン、ケルン、パリ、ジュネーブ、ブリュッセル、リスボン、マルセイユ、ローザンヌ等の著名歌劇場で指揮。我が国には読売日本交響楽団をはじめ有力オーケストラと共演し、ウィーン国立歌劇場の指揮者としても来日している。
演出:実相寺昭雄 Jissoji Akio
1937年東京生まれ。中国青島で育つ。青島で幼少の頃、故金森馨(舞台美術家)の薫陶を受ける。暁星学園、早稲田大学を経て、TBSテレビ(当時ラジオ東京)入社。テレビ演出部に配属され、昭和36年に、日劇中継「歌う佐川ミツオ」でディレクターとなる。スタジオドラマ、音楽番組など十数本を演出した後、映画部に転属、円谷プロに出向。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」などを監督。
昭和45年、ATG提携作品「無常」を自主制作。それを機にTBSを退社、フリー。以後、ATG映画をはじめ、舞台からCM、題字、コンサート演出、執筆まで幅広い活動をする。
映画監督作品に「曼陀羅」「あさき夢みし」「歌麿・夢と知りせば」「帝都物語」「悪徳の栄え」「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人事件」「姑獲鳥の夏」「鏡地獄」など。
幼少時から親しんだ音楽も主な仕事の分野となり、演出作品に『ヴォツェック』『カルミナ・ブラーナ』『イドメネオ』『モーゼとアロン』『フィデリオ』『兵士の物語』『フィガロの結婚』『魔笛』『狂ってゆくレンツ』、03年二期会『カルメン』ほか多数の作品がある。00年2月二期会『魔笛』では日本オペラの最先端をゆく演出で大好評を博した。
また、コンサートやオペラ収録にも意欲的で「火刑台上のジャンヌダルク」ヴェルディ「レクイエム」「道楽者のなりゆき」など一連のサイトウ・キネンものや、「朝比奈/新日本フィル」関連のベートーヴェンチクルス、ブラームスチクルスなど、枚挙にいとまがない。
主な著作に「星の林に月の舟」「星屑の海」「小説・ジャイアンツナイター」「旅の軽さ」「チェレスタは星のまたたき」「昭和鉄道少年」など。06年10月撮影、07年1月公開の「シルバー假面」が遺作となる。
06年11月29日この類まれな多彩な監督は惜しまれつつこの世を去る。
ザラストロ:小鉄和広 Kotetsu Kazuhiro
東京芸術大学卒業、同大学院修了。文化庁在外研修員として渡伊。イタリア声楽コンコルソ、シエナ部門優勝。ヴィオッティ・ヴァルセジア国際音楽コンクール入賞。
 『ドン・カルロ』フィリッポ2世等とりわけヴェルディの主要なバス役で卓越した実力を認められている。本年2月には二期会『オテロ』ロドヴィーコ、3月東京シティ・フィル『青ひげ公の城』タイトルロール、4月『パルシファル』ティトゥレル等出演、活躍が続く。二期会会員。
夜の女王:安井陽子 Yasui Yoko
桐朋学園大学声楽家卒業。同大学研究科修了。二期会オペラ研修所第43期マスタークラス修了。文化庁研修員としてウィーンに留学。ウィーン国立音楽大学研究課程声楽科を修了。
帰国後08年二期会『ナクソス島のアリアドネ』ツェルビネッタで本格デビューを果たし、新聞および専門雑誌にて絶賛をされた。日生劇場や新国立劇場『魔笛』夜の女王でも高度な歌唱を披露し存在感を示した。10年新国立劇場『ジークフリート』『鹿鳴館』にも出演、聴衆を魅了した。二期会会員。
タミーノ:小貫岩夫 Onuki Iwao
同志社大学卒業後、大阪音楽大学卒業。在学中に堺シティオペラ『魔笛』タミーノに抜擢されテオ・アダムら世界的歌手と共演しデビュー。この成功により、独ケムニッツ市立歌劇場から招聘を受け、同役で出演。以来数々の舞台に出演し、07年二期会『魔笛』でもタミーノを演じ、喝采を浴びた。08年新国立劇場『トゥーランドット』ではポンを好演。11年4月同『ばらの騎士』に出演予定。凛々しい美声が魅力の旬のテナーである。二期会会員。
http://pierino.blog.ocn.ne.jp/pierino/
パミーナ:増田のり子 Masuda Noriko
東京芸術大学卒業。同大学院修士課程修了。文化庁オペラ研修所第10期修了。文化庁在外研修員としてウィーンにて研鑽を積む。第53回ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位。
07年二期会『魔笛』にもパミーナで出演し、08年同『ワルキューレ』では大役ジークリンデで出演し大喝采を浴びた。10年7月新国立劇場高校生のためのオペラ鑑賞教室『カルメン』ミカエラでも、歌唱・演技両面で際立った存在感を見せた。常に聴衆を満足させる高い音楽性が光る。二期会会員。
モノスタトス:羽山晃生 Hayama Kosei
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。二期会オペラスタジオ第36期マスタークラス修了。伊ヴェローナ留学。
二期会、新国立劇場等でプリモ・ウオモから個性的な役まで多くのオペラに出演し、いずれも見事な役作りで信頼を得ている。CD:「マイ・フェイヴァリット〜21世紀に伝えたい日本の歌〜」(ビクターエンタテインメント)、「武満徹:SONGS」(カメラータトウキョウ)も好評。11年3月新国『マノン・レスコー』舞踏教師として出演予定。二期会会員。
パパゲーノ:友清崇 Tomokiyo Takashi
桐朋学園大学声楽科卒業、同大学研究科修了。二期会オペラ研修所第45期マスタークラス修了、修了時に優秀賞および奨励賞受賞。ウィーン国立音楽大学研究課程声楽科修了。第7回藤沢オペラコンクール第2位受賞。第77回日本音楽コンクール入選。
昨年11月『カプリッチョ』で二期会オペラデビューを果たし、難役である詩人オリヴィエを好演。今後の活躍が大いに期待されている。11年2月二期会『サロメ』ヨカナーン で出演予定。二期会会員。
弁者:多田羅迪夫 Tatara Michio
東京芸術大学卒業、同大学院修了。ドイツの歌劇場でのソリスト経験を経て、帰国後、数々のオペラと宗教曲等のコンサートに出演し、我が国のオペラ界と声楽界を牽引している。格調高い演技から性格的演技まで、その舞台はいずれも非常に高い評価を得る。
ドイツリートの分野でも、リサイタルのライブCD(「レコード芸術」誌特選盤)をリリースするなど、円熟の演奏で高い評価を得ている。東京芸術大学教授。二期会会員。
https://green.ap.teacup.com/musik/