10月17日(水)深夜2:29〜4:00

指 揮 シルヴァン・カンブルラン
朗  読 吉川晃司
ソプラノ  森 麻季
メゾ・ソプラノ 山下牧子
テノール  鈴木 准
バス・バリトン 久保和範
合 唱  広島平和祈念合唱団
     (合唱指揮:松本憲治)
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 松井咲子

モーツァルト作曲:
レクイエム ニ短調 K.626

モーツァルト作曲:
アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618

※2012年8月6日 
上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)収録



≪読響創立50周年!90分拡大スペシャル≫
今回は、8月に広島で行われた、「読響創立50周年特別公演」の模様を90分の拡大版でお送りしました!

読響は今年8月6日、被爆地・広島で「創立50周年特別公演 世界平和への祈り」を開催し、モーツァルトの遺作「レクイエム」を演奏しました。合唱は「広島平和祈念合唱団」。広島の市民によってこの演奏会のために結成され、被爆者から高校生まで、幅広い年齢の161名が、およそ半年間の練習期間を経て本番に臨みました。

また、今回は原爆で犠牲となった、旧制・広島県立第二中学校の 1年生の悲劇を描いた、薄田純一郎さんの詩「碑(いしぶみ)」を、 広島出身の吉川晃司さんが朗読。
さらに常任指揮者シルヴァン・カンブルランさんの意向で、 「レクイエム」に続いて「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が演奏されるなど、鎮魂と平和への誓いに満ちた演奏会となりました。

続く8月9日には長崎市でも演奏会を開催。長崎の原爆忌に、 「長崎平和祈念合唱団」84名の皆さんと、長崎にゆかりのある 女優・白石加代子さんの朗読によって「レクイエム」が演奏されました。

常任指揮者 シルヴァン・カンブルラン インタビュー
全てのヨーロッパ人が、広島で何が起きたのかを知っています。
しかし実際にこの地にまでやって来ると感じ方が違ってきます。
少なくとも私の気持ちはこれまでと違います。今回の「レクイエム」で、私たちは「痛み」を感じています。しかしモーツァルトの音楽には「痛み」だけではなく、希望・愛・人類愛・幸福の可能性 が示されているのです。今回のコンサートでは、原爆が落とされたという悲しみを思い出すと共に、人間の深い絆というものを伝えられたらいいと思っています。


そして今回、ゲストとして首席クラリネット奏者・藤井洋子さんをお招きし、
広島での演奏会のことやクラリネットのことなど色々とお話を伺いました。


藤井洋子(首席クラリネット奏者)
フランス国立パリ高等音楽院クラリネット科を1等賞で卒業。 第1回日本クラリネットコンクール第1位など、内外のコンクールで入賞歴を持つ。 1991年 読響に入団。歴代常任指揮者が厚い信頼を寄せるクラリネット奏者。

〜首席クラリネット・藤井洋子&MC・松井咲子〜
松井 藤井さんは読響に入団されて何年ですか?
藤井 今年21年です。
松井 私21歳です!
藤井 年を感じる今日この頃…。
松井 藤井さんからご覧になって読響はどんなオーケストラですか?
藤井 楽しいです。オーケストラで吹くのが夢だったので、
    いい仲間に恵まれて、すばらしい指揮者に恵まれて、
    好きな音楽で、オーケストラで仕事をすることができて
    本当に幸せです。

松井 特に印象深い“思い出”はありますか?
藤井 毎回すばらしい瞬間を待ち望みながら音を紡いでいるので、
    どれとはなかなか言えないのですが、入団して初めて
    ロジェストヴェンスキーさんの指揮でチャイコフスキーの
    シンフォニーをご一緒したときも思い出深いですし、
    アルブレヒトさんともたくさん演奏しました。やはり育てて
    いただいている部分もあるので、「こんなことが私に出来るんだ」
    という驚きが喜びに繋がり、刺激にもなります。

松井 クラリネットの魅力は、ズバリ何ですか?
藤井 音域も広く、メロディーの役割も受け持つし縁の下の力持ちも
    受け持つし、音色的にも中で支える役割も多かったりして
    色々な音が出せる楽器です。

松井 逆に、他の管楽器がうらやましいと思ったことはありますか?
藤井 ないです。みんな自分の楽器が一番だと思っているのではないでしょうか。

読響は今年創立50周年。1962年に誕生し、これまでに幾多の名演を残してきました。
そこで、1963年(読響創立の翌年)に行われた、歴史的演奏会のVTRを藤井さんに見ていただきました。


松井 貴重な映像ですよね。いかがですか?
藤井 普段は死んでしまった方々の楽譜を見ることの方が多いので、
    作曲家自らの指揮で演奏することはなかなかないので
    やってみたいですね。きっと書かれた時の思いを伝えてくれる
    と思うので、一度体験したいです。


そして広島・長崎で行われた「創立50周年特別公演」への思いを藤井さんに伺いました。

藤井 原爆が落ちた日にその場所に行くことはないだろうと思っていましたが、今回その場所の空気を感じて、とても
    ショックが大きかったです。何もわかっていなかったなと、かなりショックキングでした。広島には夜に到着し、
    平和記念公園のすぐ近くのホテルだったのですが、色々な宗教の方がお祈りをしていました。そこでの空気が独特で、
    これを感じなければここで演奏することは出来ないなと思いました。ただ行って演奏するだけなのは失礼だと思いました。

松井 その後実際の演奏に変化はありましたか?
藤井 不思議だったのですが、とても辛く怒りに満ちていて、それを音楽でどう表現するのかが大事だとカンブルランさんも
    おっしゃって。でも演奏しながらいつの間にか音楽に入れた自分にびっくりしましたし、モーツァルトを広島で演奏できて
    良かったです。


松井 市民の方々の合唱はどうでしたか?
藤井 すばらしかったです。人数がとても多かったので、どうなるのか
    最初心配していたけれど、一緒に演奏してなんの問題もなく、
    すばらしい共演者を得たと思いました。

松井 そして、広島出身のロックミュージシャン・吉川晃司さんが詩の朗読をなさったそうですが、いかがでしたか?
藤井 派手なイメージがあったので、随分落ち着かれたのだなとびっくりしました。言葉だけではなく音楽の流れの中に
    上手く入っていって一緒に作ってくださったのがとてもびっくりしました。感動しました。

松井 東京のオーケストラが「原爆の日」に広島・長崎で節目となる演奏会を開く、というのは、本当に特別なことだったと
    思うのですが…。

藤井 よくぞこの企画を立ててくれたと思いました。これは是非行かなければいけないと思いました。
    なぜ音楽があるかということに繋がることですが、音楽の力はこれからの未来を作っていく世界のために
    必要だと思うので、精一杯やります。



≪池袋・東京芸術劇場リニューアルオープン!≫

1990年のオープン以来、数々の音楽や舞台芸術を世に送り出してきた池袋・東京芸術劇場が今年9月1日にリニューアルオープンしました。 そこでMCの松井咲子さんが、東京都歴史文化財団の曾宮麻矢さんの案内のもと、新しい東京芸術劇場の中に潜入しました!

今回のリニューアルでは、2つの小ホールを「シアターイースト」「シアターウエスト」、中ホールを「プレイハウス」と名前を変え、また安全性を考えて、今まで一直線だったエレベーターを2段階に分けるなど、より楽しくエンタテインメントに親しんで頂けるようになりました。

そしてエスカレーターに乗って建物の5階へ行くと、 読響がシリーズ公演を行っている「コンサートホール」があります。
東京芸術劇場 コンサートホール
客席数1999席

リニューアルポイント
・ステージが広くなった
・ステージにひのきを使用
・2階、3階の中央に新たな席
・椅子もすべて新品に

次はバックステージへ…
東京芸術劇場は、ステージ裏のスペースが広く充実していることでも、訪れるアーティストたちから高い評価を得ています。

そして、舞台の出入り口に一番近い「楽屋1」の中を拝見。
オーケストラなどの公演の際にはマエストロが使用します。家具にも気を配り、まるで高級マンションの一室のようです。
シャワースペースも充実しています。

ここで松井さんにサプライズが!
曾宮さんからの「舞台の上で1曲弾いてみては?」の一言で、リニューアルしたばかりのステージでピアノ演奏をすることに。
なんと、松井さんがリニューアル後初のピアノ奏者です。

ソロデビューアルバム「呼吸するピアノ」から
服部隆之作・編曲「心の譜面」を披露。
感想
自分で弾いていて、私自身が癒される感じがしてとても気持ちよかったです。ここで読響の演奏を聴くと、元がとても素晴らしいので、さらに素敵な空間になると思います。


読響コンサートへの誘い!!〜 from荒川以津美(ヴァイオリン)

ヴァイオリン
荒川以津美

11月24日(土) 18:00開演 サントリーホール
11月25日(日) 18:00開演 東京芸術劇場


≪マエストロ・セレクション・ポピュラー作品集≫
グリーグ/「ペール・ギュント」第1組曲から「朝」「アニトラの踊り」
ゲーゼ/タンゴ「ジェラシー」
アルベニス(フリューベック編)/「スペイン組曲」から「セビリア」「グラナダ」
チャピ/サルスエラ「人さわがせな娘」前奏曲 ほか

指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス

11月は名誉指揮者のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスさんをお迎えします。マエストロと読響はもう30年以上の付き合いで、皆さんにも親しまれていて、「ブルやん」と呼んでいます。マエストロの魅力はなんといってもスペインの雰囲気をオーケストラに色付けしてくれるところで、スペインものをやるときは、スペインの情緒たっぷりで色彩豊かにオーケストラが変化するので、私たちもいつも楽しみに演奏しています。

コンサートの詳細は読売日響ホームページ http://yomikyo.or.jp/をご覧下さい。

シルヴァン・カンブルラン(第9代常任指揮者) Sylvain Cambreling(conductor)
独創的なプログラミングと色彩感あふれる演奏で、読響の新時代を切り拓く第9代常任指揮者。現在、クラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者を兼任しており、2012年9月にはシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督に就任することが決定している。 1948年フランス・アミアン生まれ。81年から91年までブリュッセルのベルギー王立モネ歌劇場の音楽監督、93年から97年までフランクフルト歌劇場の音楽総監督、99年から2011年7月までバーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)交響楽団の首席指揮者を務めた。また、巨匠セルジュ・チェリビダッケの後任として、02年からドイツ・マインツのヨハネス・グーテンベルク大学で指揮科の招聘教授を務めている。
森 麻季(ソプラノ) Maki Mori(Soprano)
東京芸術大学、同大学院修了。高丈ニ氏に師事。文化庁オペラ研修所修了後、ミラノとミュンヘンに留学し、プラシド・ドミンゴ世界オペラコンクールをはじめ、多数の国際コンクールに上位入賞を果たした。その後、数々のオペラに出演し成功をおさめ、小澤征爾、チョン・ミョンフンら著名指揮者や国内外の主要オーケストラと多数共演している。近年はドレスデン国立歌劇場やトリノ王立歌劇場に出演するなど、日本を代表する国際的なオペラ歌手として注目を集めている。 CDはエイベックス・クラシックスから、最新CD「アヴェ・マリア」など9枚をリリースしている。これまでにワシントン・アワード、出光音楽賞、ホテルオークラ音楽賞、安宅賞を受賞。
山下牧子(メゾ・ソプラノ) Makiko Yamashita(Mezzo Soprano)
広島大学教育学部を経て、東京芸術大学大学院に学ぶ。二期会オペラスタジオマスタークラスを優秀賞を受賞し修了。第1回東京音楽コンクール声楽部門第1位。第72回、第73回日本音楽コンクール共に第3位入賞。1997年芸大定期<皇帝ティートの慈悲>アンニオでオペラデビュー以降、新国立劇場や二期会をはじめ数々の舞台で活躍。代表的な役柄として、二期会<ジュリアス・シーザー>タイトルロール、同<コジ・ファン・トゥッテ>(文化庁芸術祭大賞受賞)ドラベッラ、同<サロメ>ヘロディアス、日生劇場<カルメン>タイトルロールなどがある。今秋は日生劇場開場50周年・読響創立50周年・二期会創立60周年記念<メデア>にクレオサで出演が予定されている。二期会会員。
鈴木 准 (テノール) Jun Suzuki(Tenor)
東京芸術大学卒業。同大学院修士課程独唱科、及び同大学院博士後期課程修了。芸大<メサイア>に抜擢されて以来、端正な美声が評価され数多くの宗教曲を演奏。バッハ・コレギウム・ジャパンに参加し、海外公演をはじめ数多くの舞台でソリストを務めた。オペラでは、モーツァルトをレパートリーの中心として活躍しており、ことに<魔笛>のタミーノは近年だけでも佐渡裕指揮兵庫芸術文化センター、上岡敏之指揮日生劇場、テオドール・グシュルバウアー指揮東京二期会と立て続けに大舞台への起用が続いている(日生劇場および東京二期会では読響が管弦楽演奏を務めた)。また、学生時代よりブリテンをライフワークとしており、本年6月には故郷の札幌コンサートホール Kitaraでブリテンとモーツァルトによるリサイタルを開催し、好評を博した。二期会会員。
久保和範(バス・バリトン) Kazunori Kubo(Bass・Baritone)
東京芸術大学卒業。同大学院修士課程独唱科修了。文化庁オペラ研修所を経てニューヨークで研鑽を積む。第6回奏楽堂日本歌曲コンクール第1位入賞。芸大オペラ<ドン・ジョヴァンニ>騎士長でオペラデビュー。1997年新国立劇場オープニング公演<健・TAKERU>に稲置で出演。幅広いキャラクターを演じ分け、常に安定した演唱を披露している。最近では二期会<フィガロの結婚>タイトルロール、同<ドン・ジョヴァンニ>レポレッロ、兵庫県立芸術文化センター<こうもり>ファルケで高い評価を得た。ソリストとしても主要オーケストラと数多く共演しており、本日の演奏曲は、読響が2006年にマンフレッド・ホーネック指揮で行った公演でも独唱を務めている。二期会会員。
吉川晃司(朗読) Koji Kikkawa(Recitation)
1984年に映画「すかんぴんウォーク」と、その主題歌<モニカ>でデビュー。作詞、作曲、プロデュースを自ら手がけ、独自のボーカルスタイルでロックアーティストとして不動の地位を確立。近年は音楽活動に留まらず、映画「チーム・バチスタの栄光」などへ出演、NHK大河ドラマ「天地人」の織田信長役を演じ、2011年には映画「必死剣 鳥刺し」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞するなど、俳優としても高い評価を得る。12年8月公開映画「るろうに剣心」では鵜堂刃衛役を、また13年NHK大河ドラマ「八重の桜」では西郷隆盛役として出演が決定。現在も精力的にライブを行う中、更に活動の幅を広げて活躍中。11年7月、21年ぶりの復活となったCOMPLEXの東京ドーム公演を東日本大震災復興支援の為に開催し、以降も自らの活動を通して支援し続けている。