12月19日(水)深夜2:49〜3:49

指 揮 シルヴァン・カンブルラン
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 松井咲子(AKB48)

ストラヴィンスキー作曲:
バレエ音楽<ペトルーシュカ>(1947年版)

※2012年4月16日 東京芸術劇場



≪バレエ音楽「ペトルーシュカ」≫
読響常任指揮者シルヴァン・カンブルランさんの指揮で、ロシアを代表する作曲家ストラヴィンスキーの
バレエ3部作のひとつ、「ペトルーシュカ」をお送りしました。

シルヴァン・カンブルラン
フランス出身。2010年に読響常任指揮者就任。
9月からシュトゥットガルト歌劇場音楽総監督を務める。
就任以来、興味深いテーマを掲げた公演プログラムを構成するなど、読響とともにエネルギッシュに取り組んできた。


今回は、読響打楽器のメンバーに常任指揮者とオーケストラの関係について伺いました。

≪読響打楽器奏者・野本洋介&西久保友広インタビュー≫

松井:常任指揮者さんがやるステージは他の指揮者と比べて
   違いますか?

西久保:指揮者も奏者もお互い分かり合った仲なので、常任
   指揮者からの要求も他の指揮者に比べて厳しいものに
   なりますし、一体感も違うと思います。お互いより良い
   音楽を作ろうとする仲ですね。

松井:シルヴァン・カンブルランさんと共に歩んで来た2年間は
   どんなものでしたか?

野本:今まで読響はドイツ人の指揮者が多かったのですが、フランス人のカンブルランさんになり、色合いが変わったのでは
   ないかと思います。ドイツのカッチリとしたものから、フランスの流れるような感じの音も読響から出て来たと思います。

西久保:色彩感が増した感じですね。打楽器に関してもご兄弟に
   ティンパニ奏者がいらっしゃるのですが、すごく細かいところまで
   指示をされて、こちらも聞いてくれるのはすごく嬉しいし、
   やるだけ反応が返ってくるので楽しいです。

松井:「ペトルーシュカ」は打楽器が大活躍する作品だと思うのですが、
   打楽器奏者の方が思う「ペトルーシュカ」の魅力とは?

野本:ストラヴィンスキーは打楽器の使い方に長けている方だったので、
   この曲も打楽器に色々な細かい指定があり、場面に合わせた音色が
   たくさんあるところが魅力なんじゃないかなと思います。

松井:その中でも打楽器の魅せどころや、ここは聴いて欲しいというところは
   ありますか?

野本:一番特徴的なのは、人形がパタンと倒れる場面を、タンバリンをポトンと落とす奏法で表現したところ はよく考えたなと
   思うので、そこは見て頂きたいです。


バレエ音楽<ペトルーシュカ>
1911年シャトレ座で、パリを拠点とする「ロシア・バレエ団」によって初演された。初演当時、「ペトルーシュカ」は不協和音が鳴り響き、革新的なリズムやハーモニーが投入されていることから、パリで活躍する作曲家の間では話題となった。

常任指揮者シルヴァン・カンブルラン インタビュー

Q.「ペトルーシュカ」の魅力とは?
「ペトルーシュカ」は1830年代のペテルブルグ(ロシア)が舞台になっています。当時のペテルブルグは多くの人がフランス語を話し、フランス文化に精通していました。ロシアとフランスの民族的な音楽と踊りの交錯こそ、私には特別なものです。

Q.カンブルランさんが振る「ペトルーシュカ」とは?
ロシア的な部分では正確なリズム、人形らしいリズミカルでアクセントのある、はっきりとしたリズムを要求しました。フランス的な部分では、滑らかなレガート、色彩とダイナミズムの素早い変化を求めます。例えばトランペットとトロンボーンのマーチからフルートとハープのワルツに移るようなところです。マーチはロシア音楽、ワルツはフランス音楽です。その対比を明確にしなければなりません。オーケストラ全体が演奏する部分では、音のダイナミックレンジの広さと各楽器のアンサンブルが重要です。いろいろな楽器のソロは華やかですが、同時に少々風刺的なところや、非常に詩的なほろ苦さもあります。なぜばらペトルーシュカは人間として行動していますが、本当は人形だからです。


≪松井咲子 打楽器セクションに潜入!≫

松井さんが打楽器セクションへお邪魔し、様々な打楽器を見せていただくことに・・・
たくさんの打楽器が所狭しと、並んでいます。
どんなものがあるのでしょうか?

シンバル
読響には様々なサイズのシンバルが。
大シンバルは重要な1発を出すときに使用し、小シンバルは繊細な音を出すときに使用。
読響で1番大きい21インチシンバルは重さ約7Kg。
松井さんが挑戦してみましたが、あまりの重さに断念!

スーパーボール
針に刺したスーパーボールを、ドラに擦り付けて音を出す。

粘土
「タイゴング」の裏に貼り付け、音色や音程を変えるために使用する。

タイプライター
ルロイ・アンダーソンの「タイプライター」という曲で使用。
実際にタイプライターを叩いて使う。

ミュージカル・ソー
「取り扱い注意!」と書かれた箱の中にはのこぎりが!
のこぎりを揺らし、バイオリンの弓で擦って音を出す。
膝を揺らすとビブラートをかけることも出来る。
ほかにも様々な打楽器が・・・
 ムチ
 ラチェット
 フレクサトーン


フレクサトーン、ドラ、シンバルと一緒に、 3人で「おばけ屋敷」の音を共演。 おどろおどろしい音になるはずですが、 「コミカルになってしまう!」と、フレクサトーンに苦戦する 松井さん。
打楽器奏者の極意とは?

野本洋介さんの極意
僕の極意は「お寿司のワサビ」です。弦楽器のサウンドや管楽器のサウンドはそのままでも十分ネタとして美味しいと思いますが、ちょっとワサビを効かせることによってより美味しくなる部分があるのではないかなと思います。そのさじ加減を打楽器奏者は上手く出来たら良いなと思います。


西久保友広さんの極意
僕の極意は「度胸」です。長い間弦楽器や管楽器の方が演奏してきて、最後の1発で失敗してしまったらいけないので、やはり突っ込む勇気というか、その最後の1発を決める度胸が重要だと思います。


読響コンサートへの誘い!!〜 from鈴木康浩(ソロ・ヴィオラ)

ソロ・ヴィオラ
鈴木康浩

2013年1月21日(月) 19:00開演
サントリーホール


モーツァルト/ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
マーラー/交響曲 第5番 嬰ハ短調

指揮=レイフ・セゲルスタム
ピアノ=菊池洋子


マーラーの5番は、僕的にはすごくかっこいい曲です。何がかっこいいかというと、トランペット。最初にトランペットから入ってくるのですが、それが荘厳に鳴り響いた後にオーケストラ全体が入ってきます。そんなマーラー5番を指揮するのは、北欧から来たレイフ・セゲルスタムさん。この方は本当に体が大きくて彼が振るとすごくオーケストラが鳴るのです。ですから底鳴りがするマーラーの5番が楽しめると思います。ちなみに僕としては3楽章にヴィオラのピッチカートのソロがあります。全部合わせてたった10音ですがそこに命を込めて演奏していますので、そこまで寝ないで聴いていただきたいですね。

コンサートの詳細は読売日響ホームページ http://yomikyo.or.jp/をご覧下さい。

シルヴァン・カンブルラン(常任指揮者) Sylvain Cambreling(conductor)
独創的なプログラミングと色彩感あふれる演奏で、読響の新時代を切り拓く第9代常任指揮者。現在、クラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者を兼任しており、2012年9月にシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督に就任。 1948年フランス・アミアン生まれ。81年から91年までブリュッセルのベルギー王立モネ歌劇場の音楽監督、93年から97年までフランクフルト歌劇場の音楽総監督、99年から2011年7月までバーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)交響楽団の首席指揮者を務めた。また、巨匠セルジュ・チェリビダッケの後任として、02年からドイツ・マインツのヨハネス・グーテンベルク大学で指揮科の招聘教授を務めている。