演奏レビュー

日時

11月22日(木)2:35~3:35(水曜深夜)予定
BS日テレ 12月1日(土)朝7:00~8:00予定

11月放送プログラム

モーツァルト作曲 ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491 ほか

ピアノ
ピョートル・アンデルシェフスキ
読響常任指揮者
シルヴァン・カンブルラン

(2018年9月21日 サントリーホールにて収録)


【11月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー

新井鴎子プロフィール
読響シンフォニックライブの構成を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛け、長年にわたりその楽しみや魅力を親しみやすく伝えてきた。
音楽祭のディレクターやオペラ・ミュージカルの脚本、執筆活動など〈クラシック音楽〉の分野で幅広く活躍している。
現在、東京藝術大学特任教授。

【モーツァルト作曲 ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491】
「モーツァルトの音楽はまるでオペラだ。物語も言葉もついていないが、音楽のフレーズやテクスチャーがそのまま「語り」になっている。」とアンデルシェフスキは言っています。モーツァルトの数少ない短調のピアノ協奏曲の中でもとりわけドラマティックな24番を、音色の多彩なパレットで描き分けたアンデルシェフスキ。消え入るように密やかなピアニッシモ、音量という物理的な強さではなく突き抜けるようなフォルテ、一つ一つの音は極限まで彫琢され、その微細な変化を聴き分けるには聴き手にも高度の感性が要求されます。「ハ短調」の24番は、ともすればベートーヴェンの<運命>に近い重厚さが強調されがちですが、アンデルシェフスキの演奏は、深さはあるけれど暗さや重さは無く、心の中の悲劇ではなく、シアターの中で起こっている悲劇をみているような印象でした。

演奏者の略歴

ピョートル・アンデルシェフスキ(ピアノ)
ピョートル・アンデルシェフスキ(ピアノ)
Piotr Anderszewski
ポーランド生まれ。これまでにウィーン・フィル、ベルリン・フィル、パリ管、ロンドン響など世界一流の楽団と共演を重ね、今年8月にはエディンバラ音楽祭やマントン音楽祭に出演した。録音ではワーナー・クラシックス/エラートと専属契約を結び、グラモフォン賞など権威ある賞を多数受賞。ヨーロッパ室内管を弾き振りした最新盤「モーツァルト:ピアノ協奏曲第25、27番」は『レコード芸術』誌の特選盤となった。読響初登場。
シルヴァン・カンブルラン(指揮)
シルヴァン・カンブルラン(指揮)
Sylvain Cambreling
1948年フランス・アミアン生まれ。これまでにブリュッセルのベルギー王立モネ歌劇場の音楽監督、フランクフルト歌劇場の音楽総監督、バーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)響の首席指揮者、シュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督を歴任し、現在はクラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者を務めている。今年秋からはハンブルク交響楽団の首席指揮者に就任するほか、巨匠セルジュ・チェリビダッケの後任として、ドイツ・マインツのヨハネス・グーテンベルク大学で指揮科の招聘教授も務めている。
客演指揮者としてはウィーン・フィル、ベルリン・フィルを始めとする欧米の一流楽団と共演しており、オペラ指揮者としてもザルツブルク音楽祭、メトロポリタン・オペラ、パリ・オペラ座などに数多く出演している。
昨年11月に読響と披露した歌劇〈アッシジの聖フランチェスコ〉(演奏会形式)は、「音楽の友」誌の「コンサート・ベストテン2017」で第1位に選出されるなど絶賛された。
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