造船計画始動から306日。この日は最終局面、船のふちを補強する“ぐまー"という材木の取り付けに取り掛かった。 波によるねじれを抑え、船の強度を上げるなどの役割がある。 サバニの曲線に合わせ、材木を慎重に曲げながら、等間隔で竹釘を打ち込み、外側内側と左右それぞれに取り付けた。 最後に、沖縄の船大工に古くから伝わる、防腐性に優れ、水を弾いて浸水を防ぐ、サメの肝油で船体をコーティング。 これは、スタッフが沖縄で釣り上げた、駆除対象のサメの肝臓を細かく切って、4時間鍋で煮込んで作った。 そして、製作期間324日、手造りの木造船が完成した。 だが、スピード重視で細身のサバニを乗りこなす操船技術がなく、竹のアウトリガーを取り付けて船の安定を図ることに。 その効果は抜群で、ぐんぐん進む推進力と狭い港跡で旋回できるほど機動性を兼ね備えたものとなった。