一晩明けて杉和紙の遠藤さんと長瀬は「皮むき作業」に入った。和紙の出来上がりをきれいにするため、柔らかくなった皮の外側を包丁で丹念に取る。和紙づくりが女にとって冬の日課だった頃、いつも口ずさむ唄があった。全部で26番まであり、遠藤さんの歌声に合わせて長瀬は黙々と作業をこなす。




一方、白菜和紙の達也と清は依然すり潰す作業が続く。頼みの綱は前田さんからのメール…「次に細かくすり潰します。するとドロドロになってくるはず」、すると次第にドロドロになるが、これが本当に紙になるのか?




その頃、杉和紙づくりは遠藤さんが26番を唄い終えたと同時に皮むき作業も終え、続いて「紙素打ち作業」…むいた皮を平たい石や木に乗せ、叩いて繊維をほぐす。これにより、板状だった皮がフワフワな繊維の固まりとなった。今度は和紙づくりに欠かせない「ネリづくり」…皮の繊維をただ水に入れても底に溜まるだけだが、ネリと呼ばれる粘液を入れることで繊維が均等に撹拌(かくはん)され、手で漉くことができる。その材料を手に入れるべく再び里山へ向かい、見つけたのは「ヤマアジサイ」。粘り気がでるのは皮の部分、これを削りとって10分ほど煮込むと、糸を引くほどの粘り気が出てきた! この煮汁をこして出てきた粘液をネリとする。