暖冬とはいえ、大寒もすぎて村の寒さは一層の厳しさ。
田んぼにはった薄氷はかっこうの遊び場となり、寒さに負けずに男たちがはしゃぎまわる。
一方ビニルハウスでは、この時期収穫を迎えるものが。
それは、かわいいかわいい芽キャベツ。冬に顔を出す2cmほどの芽キャベツは、ビタミンCの量ではキャベツよりも多いという、小さいのにできるヤツ。

そんな芽キャベツも使って作る冬の食卓は、この寒さを利用しなければ作れない「春雨」。
春の雨を連想させる細く透明なその姿から名のついたこの食材は、一般的にはジャガイモの澱粉を使って作られる。
しかしこの春雨が考え出された約1000年前の中国では、「緑豆」という豆が使われていたのだという。

そこでこの異国の古の知恵を使って村でも春雨を作ろうと、まずは種まきを始めたのはまだ初夏の6月のことだった。
種まきから5日でさっそく顔を出したその芽は、地中にいわゆるモヤシの部分ができるほどに成長。
その後、梅雨の時期にカビが発生してしまった苗もあったが、大方無事に成長し、8月には花を咲かせるまでになっていた。